2006 Fiscal Year Annual Research Report
伝統集落における緑化デザインの環境調節効果と景観特性
Project/Area Number |
18860016
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
橋本 剛 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (70400661)
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Keywords | 緑化デザイン / 伝統集落 / 屋敷林 / 生垣 / 景観 / 気候 |
Research Abstract |
地域の気候特性を考慮した建築・都市パッシブデザインへの屋敷林の応用という観点から、屋敷林の中でも刈り込みによって整形された生垣に着目し、茨城県南地域において「イキグネ」「イグネ」等と呼ばれている伝統的な生垣の実態調査を行った。刈り込み整形された伝統的な生垣景観の形成されている4地区(押付新田地区:利根町、西丸山・下長沼地区:つくばみらい市、金田西坪地区:つくば市、八郷地区:石岡市)を調査対象として選定し、刈り込み整形された生垣について樹種を確認し、その形態寸法を測定するとともに、生垣と建築物の配置を調査した。また、生垣に関する住民へのヒアリング調査を行った。 住民に対するヒアリング調査の結果、多くの生垣は住民自らによって刈り込み整形されていることが確認された。生垣に求める役割としては、押付新田地区及び西丸山・下長招地区では防風、金田西坪地区では防風及び防火、八郷地区では防火いう回答を多く得た。 形態、配置等に関する実態調査の結果、生垣の樹種としては、押付新田地区ではイヌマキ、西丸山・下長招地区ではシラカシ、金田西坪地区及び八郷地区ではモチノキが主に用いられていた。刈り込み整形された生垣の形態についてみると、生垣の高さについて地域的な特性が認められた。また、生垣の配置についてみると生垣と住居との距離にっいて地域的な特性が認められた。具体的には、筑波山麓に位置する八郷地区では、他の地区に比べて生垣を高く育成する傾向にあることが示された。そして、金田西坪地区及び八郷地区では防火性能の向上を重要視しているため、生垣を住居に近接して配置する傾向にあることが明らかとなった。単植垣のサンプルを比較的多く得たシラカシとモチノキの生垣について形態及び配置を比較すると、配置について有意差が認められ、モチノキはシラカシよりも建築物に近接して配置される傾向のあることが示された。
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Research Products
(1 results)