2006 Fiscal Year Annual Research Report
同位体ラベル化法によるメタン生成菌と競合する微生物の環境応答評価
Project/Area Number |
18860019
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 司 群馬大学, 工学部, 講師 (80431708)
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Keywords | 共生細菌 / メタン生成菌 / 同位体ラベル化法 / MAR-FISH / GC-MS / RNA-SIP |
Research Abstract |
本年度は、同位体ラベル化法によるメタン生成古細菌と競合する酢酸資化性細菌の検出と種の同定を行った。酢酸分解は糖分解やプロピオン酸分解の下位に位置する分解反応であるため、安定同位体炭素で標識されたグルコースおよびプロピオン酸を用いたRNA-SIP法の結果を基に酢酸分解に関与する微生物を推定し、推定した微生物を対象としたFISHプローブを用いて、放射性同位体炭素で標識された酢酸を用いたMAR-FISH法により確認を行った。RNA-SIP法の結果、グルコースを基質とした系ではActionobacteria門に属するクローンの検出率が最も高く、糖分解に関与していると推定され、MAR-FISH法で確認できた。続いて検出率が高かったのはSynergistes group4であった。また、プロピオン酸を基質とした系でプロピオン酸分解菌のSmithellaに続いて検出率が高かったのはSynergistes group4であった。Synergistesは門レベルと推定されるグループであり、嫌気消化汚泥や腸、土壌などの嫌気環境からしばしば検出されるが、分離菌株が少なく現在のところ系統分類が明確ではない。機能も分離菌株の情報に限られ、ほとんど未知である。Synergistesは本研究でグルコースおよびプロピオン酸を基質としたRNA-SIP法の結果のいずれからも比較的高頻度で検出されたため糖あるいはプロピオン酸の分解を直接担うと考え、グルコース分解菌とプロピオン酸分解菌を検出する条件でMAR-FISH法を行ったが検出できなかった。そこでそれらの分解の下位に位置する酢酸分解を想定し、酢酸分解菌を検出する条件でMAR-FISH法を行った結果、Synergistesを酢酸分解菌として検出できた。酢酸分解菌にはSynergistesの他、メタン生成古細菌のMethanosaetaも検出された。
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