2007 Fiscal Year Annual Research Report
同位体ラベル化法によるメタン生成菌と競合する微生物の環境応答評価
Project/Area Number |
18860019
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 司 Gunma University, 大学院・工学研究科, 講師 (80431708)
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Keywords | 共生細菌 / メタン生成菌 / 同位体ラベル化法 / MAR-FISH / バイオマス / RNA-SIP / メタン発酵 / 廃棄物再資源化 |
Research Abstract |
本研究では嫌気性消化汚泥内の酢酸分解反応と水素、二酸化炭素資化反応に関与する細菌について同位体ラベル化法であるRNA-SIP法とMAR-FISH法,さらに安定同位体炭素で標識された酢酸を用いた反応生成物(CH4,CO2)のGC-MS測定により,酢酸が古細菌と細菌のどちらにどの程度利用されたのか,酢酸濃度がその分解に関与する微生物の群集構造や活性にどのように影響するかについて評価した。酢酸濃度0.5mMでは酢酸を利用したMethanosaetaはSynergistes group4の約2倍存在したのに対し,2.5mM以上では酢酸を利用したSynergistes group4はMethanosaetaを上回る結果となった。これより,特に酢酸濃度2.5mM以上ではSynergistes group4はMethanosaetaと基質を競合することによりメタン生成効率に影響を与える可能性が示唆された。別の実験系でプロピオン酸を基質とした場合においても,基質濃度により活性を示した微生物の構成種が変化する結果が得られている。これらの現象は各微生物の基質親和性が異なることから生じたと考えられ,基質濃度は微生物の群集構造および活性に影響を与えると推察された。CH_4とCO_2の同位体比の測定から共生酢酸分解メタン生成反応が全メタン生成に占める割合を調査したところ,酢酸濃度が高濃度側では共生によるメタン生成の割合が増加する傾向が認められ,上記のMAR-FISHの結果を支持した。反応槽内の酢酸、プロピオン酸濃度は0〜20mMの範囲で変動していたため,このことが嫌気性消化汚泥内に基質親和性の異なる酢酸、プロピオン酸分解微生物を共存させることに繋がったと思われた。基質分解に基質親和性の異なる複数種の微生物が関与することは,基質濃度の変化への対応を容易にし,処理の安定性に繋がる可能性があると推察された。
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Research Products
(2 results)