2006 Fiscal Year Annual Research Report
分布型光ファイバ計測技術を利用した複合材料の成形モニタリング
Project/Area Number |
18860025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 忠均 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助手 (00401232)
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Keywords | 航空宇宙工学 / 複合材料・物性 / 構造・機能材料 / スマートセンサ情報システム |
Research Abstract |
当研究では光ファイバの分布型計測技術を複合材料構造に適用することについて基礎的な検討を行う。特に複合材料構造の信頼性は材料の成形過程が特に重要であり、製造時の初期不良等を的確に検知する手法はまだ確立されたとは言えない。そこで、埋め込み用途に適した細径光ファイバセンサを利用して、分布型計測技術による複合材料の成形モニタリングについて検討を行う。近年の光ファイバセンサの分布型計測技術は、高精度、高分解能化が進み、複合材料構造のヘルスモニタリング技術に適用可能なレベルに近づいた。本研究では、ブリルアン散乱を利用した分布型計測技術のうち、ひずみを高精度で計測可能なPPP-BOTDA方式を適用する。 本年度は、(1)ひずみ変化に伴うブリルアンスペクトル変化を予測するための数値解析手法の構築を中心に取り組むと同時に、(2)計測時に要求される光強度損失低減について検討を行った。 解析手法の構築に関しては、漏れ光を考慮したブルリアンスペクトルの解析手法を基にして、PPP-BOTDAの特徴を考慮したブルリアンスペクトルの解析手法を構築した。引張試験でのひずみ計測値と解析値を比較し、数値解析手法が妥当であることを確認した。さらに、光ファイバの軸方向にひずみ分布がある場合についても詳細な検討を加えた結果、不均一なひずみ分布が加わった場合にはブリルアンスペクトルの形状が変化することを確認した。この不均一なひずみ分布への応答は、複合材料内部の微視的損傷検出に応用できる可能性を示唆するものである。 次に、光強度損失低減に関する検討では数種類の光ファイバセンサを試作し、評価を行った。光ファイバの比屈折率差Δを変化させることにより、計測系全体の光強度損失を低減することが可能になる。検討の結果、Δ=1.83%の細径光ファイバセンサが、埋め込みによる構造ヘルスモニタリングに適しているセンサであることがわかった。
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