2006 Fiscal Year Annual Research Report
多地域応用一般均衡モデルと継続的復興状況調査に基づく大規模地震経済被害の計量化
Project/Area Number |
18860030
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
土屋 哲 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (70422623)
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Keywords | 防災計画 / 経済被害 / 一般均衡モデル |
Research Abstract |
平成18年度は,災害時におけるライフライン機能(電力,水道,ガス)の損傷が地域経済に及ぼす影響を計量化するために,応用一般均衡モデルを用いて経済被害の評価を行った。その中で,まず産業ごとのライフライン途絶に対する生産レジリエンシー(システム途絶への耐性)に関する基礎的な検討として,災害時の企業のライフライン途絶に対するレジリエンシー指標として一般均衡モデル中のCES型生産関数の代替パラメータに着目し,先行研究で推定されているライフライン途絶抵抗係数を利用してこのパラメータの推定を行った。これをふまえた上で,産業ごとのユーティリティ投入に係る代替性を応用一般均衡モデルに反映させて被害推計に適用している点に,本研究の方法論的な意義がある。 応用一般均衡モデルを用いた分析の結果,まず,各ライフラインの途絶状況(フェーズ)に応じた経済被害を地域家計および産業別に把握することができた。新潟県中越地震のライフライン途絶の総損失は約200億円と試算され,別の研究から推定されている操業利益損失の10%弱を占める結果であった。損失の大部分は,電力途絶を伴う水道・ガスの全ライフラインが途絶している地震発生直後の数日間に集中する結果となっており,電力が回復してから後の1日あたりの被害額と比べても,電力の途絶が地域経済に大きく影響していることが推察される。また,地域産業がライフライン途絶に対してレジリエンシーを高めておくことでどのくらいの被害が軽減されうるかについても検討のための枠組みを示した。
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Research Products
(3 results)