2006 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニックバンドギャップ環境による量子ドットの物性の解明
Project/Area Number |
18860038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨士田 誠之 京都大学, 工学研究科, 産学官連携助手 (40432364)
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Keywords | フォトニック結晶 / 量子ドット / 光物性 / 電子物性 |
Research Abstract |
本研究は,発光現象の根本的な制御が可能なフォトニック結晶を用いることで,量子ドットの発光状態を制御し,その結果観察される発光現象を通して,量子ドットの遷移・緩和現象を明らかすることを目的とする.フォトニック結晶は,特定の波長域に対して発光を抑制するフォトニックバンドギャップをもち,その波長域は格子定数によって変化する.今年度は,同一の量子ドットをもつ基板上に様々な格子定数をもつ二次元フォトニック結晶スラブを形成することによって,量子ドットの発光波長域を一定にしたまま,フォトニックバンドギャップの作用する波長を変化させることを試みた.フォトニックバンドギャップが量子ドットの発光波長域に作用する場合,時間領域差分電磁界解析から予想される理論限界に近い15倍程度の発光寿命の増大が観測された.この結果は,量子ドットのもつ三次元的なキャリア閉じ込め効果によって加工プロセスによる非発光過程が抑制され,フォトニック結晶のもつ発光制御効果が有効に働いたことを示した.さらに詳しく,フォトニックバンドギャップが量子ドットの高いエネルギー準位のみ,もしくは低いエネルギー準位に作用した場合に関して発光寿命の評価をおこなったところ,高いエネルギー準位・低いエネルギー準位に関わらずフォトニックバンドギャップ効果が観察された.この結果は,各エネルギー準位に対してフォトニックバンドギャップ効果が独立に作用し,準位間の緩和寿命が発光寿命に対して無視できるオーダーであることを示唆している.
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Research Products
(1 results)