2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18860045
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩本 馨 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助手 (00432419)
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Keywords | 空間史 / 日本史 / 巡礼 / 霊場 / 中世 / 近世 / 参詣 / 環境形成史 |
Research Abstract |
本研究は日本の中世・近世に展開された巡礼およびその霊場に関する空間論的分析を行うものである。本年度は以下の3つのテーマについて研究を行った。 第一に、全国スケールから建築的スケールまで多様なレベルにおいて存在する巡礼の空間について、それらの相互関係やその質的差異について整理を行った。事例としてはこれまでに扱った秩父34ヵ所に加え、西国33ヵ所などの広域巡礼、護國寺33ヵ所・御室88ヵ所・覚王山88ヵ所などの境内地巡礼、栄螺堂などの建築内巡礼などの新たな事例分析を行い、これらの総合的位置づけを試みた。その成果は2007年3月開催の日本建築学会都市史小委員会シンポジウムにおいて報告「巡礼空間の内と外」を行った。 第二に、中世近世移行期の巡礼の空間についての考察を行った。具体的には京都市の西国20番札所、善峯寺に所蔵される2幅の参詣曼荼羅を史料として用い、描かれた巡礼空間の分析を行った。その中間的成果は東京大学史料編纂所高橋慎一朗氏を主査とする「中世都市と史料」研究会にて報告を行い、今後さらに精緻な検討を加えていきたいと考えている。 第三に、近世近代移行期の巡礼の空間についての検討を行った。これについては2006年6月に国際基督教大学で行った秩父巡礼に関する報告をもとに、同大学、Asian Studies誌に論文"Chichibu's Kannon Temples Before and After the Meiji Restoration"を投稿中である(採用決定)。
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