2006 Fiscal Year Annual Research Report
強ひずみ加工を必要としない超微細粒鉄鋼材料の創製とその高延性化
Project/Area Number |
18860051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高田 尚記 大阪大学, 大学院工学研究科, 特任研究員 (70432523)
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Keywords | 超微細粒材料 / 複相組織 / 加工熱処理 / 強度 / 延性 |
Research Abstract |
本年度はマルテンサイトプロセス(マルテンサイト組織を持つ鉄鋼材料に加工熱処理を施すプロセス)を種々の炭素鋼に適用し,これにより作製した複相超微細粒鋼(フェライト+セメンタイト)の機械的性質を系統的に調査した。炭素量を増加によってセメンタイト相の増加により機械的性質の向上が見込まれることから,本研究では超微細粒鋼の複相化による機械的性質の改善の可能性を模索するため,実用上必要な0.2wt%以下の炭素鋼のみでなく敢えて0.8wt%まで炭素量を変化させた材料にマルテンサイトプロセスを適用した。以下にその結果を要約する。 1.単相のマルテンサイト組織を持つ種々の炭素鋼にAl変態点以下の温間域(500℃〜700℃)で50%圧下率の圧延を行なった。これは高炭素鋼では室温で非常に脆性的であり,圧延加工が不可能であったためである。温間圧延を施した試料は最大1.7GPaに達する高い強度を有するものの,約7%の全伸びといった乏しい延性を示した。また,炭素量の増加および圧延温度の上昇とともに強度は低下したが,伸びはほとんど変化しなかった。 2.温間圧延材に種々の温度(400℃〜600℃)で熱処理を施した試料の組織観察と機械的性質を評価した。各試料において400℃と500℃熱処理では大きな組織変化はみられず,圧延による加工組織が回復したものと考えられる。一方,600℃熱処理を施すと低炭素鋼では再結晶が発生し結晶粒が粗大化するが,炭素量が増加するにつれてセメンタイト相による粒成長の抑制が認められた。また機械的性質については,熱処理温度の上昇に伴って強度が低下するものの,延性が改善されることがわかった。特に600℃熱処理を施した高炭素鋼では,単相超微細粒鋼の特徴的な現象である顕著な降伏点降下現象やリューダース変形といった引張変形挙動を示した。
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Research Products
(1 results)