2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノコンポジット微粒子の磁性と高密度記録材料への展開
Project/Area Number |
18860076
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
田中 喜典 豊田工業大学, 大学院工学研究科, PD研究員 (70410842)
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Keywords | FePt / Fe_3Pt / LLG / 磁気記憶 |
Research Abstract |
次世代磁気記録媒体候補FePt-L1_0相を、Fe_3Ptとの複合材料によるTilted Media方式で実用化を目指し、当研究室ではグラニュラ膜が作製されたが、[001]配向した試料は磁場印加方向が膜面から45度で抗磁力最大を示し面直方向から磁化が傾いている事が示唆された。そこでこの材料の磁気特性、媒体の可能性についてLLG方程式を基に検証した。 面直[001]から45度はFe_3Ptの磁化容易軸<110>と重なる。まずFe_3Ptの磁気異方性に注目し、反磁界磁場が等方的となる球に近い形状の微粒子においてFePtを核Fe_3Ptを外殻とし、体積比ほぼ等量での磁化分布及び磁化反転のシミュレーションを行った。想定したパラメタでは[001と<110>の磁気異方性のエネルギー密度の差はFe_3Pt(K_1/2)はFePt(K_u/2)の1/10であり、強い交換結合、単磁区形成サイズという条件では磁化が45度傾く位置にエネルギー最小値は得られない。反磁界エネルギーが必要であり、この評価をFePt/Fe_3Pt二層膜の種々のアスペクト比において行った。両エネルギーを考慮すると単磁区状態での磁化の傾きも議論できるが、大きな磁化故の反磁界エネルギーは、異方性エネルギーの障壁を相殺し、媒体として熱安定性を損なう事が問題となる。これに対しグラニュラ膜ではグレイン間の弱い相互作用の為、異方性エネルギーの影響がより支配的となり、媒体の実現は現実味を帯びる。この検証のために3次元ボロノイセルでグレイン領域を設定し、グレインの結晶軸のガウス分布にX線の分散角を取り入れ、グレイン間の弱い相互作用を考慮したシミュレーションを行った。結果はグレインの状態に強く依存し、実験結果の再現には表面緩和の影響等、ナノ物質特有の考慮すべき要素も残されており、TEMによる構造の詳細などの実験を含めた更なる丁寧な検証が必要である。
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