2007 Fiscal Year Annual Research Report
木質構造の断面欠損を有する部材の曲げ性能に関する研究
Project/Area Number |
18860085
|
Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
荘所 直哉 Akashi National College of Technology, 建築学科, 助教 (50413810)
|
Keywords | 木質構造 / 断面欠損 / 曲げ実験 / 回転剛性 / 欧州アカマツ / 集成材 |
Research Abstract |
平成19年度に本研究で得られた実績は次の通りである。断面欠損(ホゾ孔形状)が断面中心にある部材の曲げ実験を行った。試験体は比較的ばらつきの少ない欧州アカマツの正角材とし,材小径,断面欠損方向および欠損長さをパラメータとして全87体用意した。曲げ実験の結果から,その性能の把握と構造力学的な評価を加えて得られた結果を以下に示す。 (1)曲げ応力度について 断面欠損部分において,断面欠損の方向や欠損長さに関係なく,弾性範囲内では,断面欠損部分の正味の断面係数を0.6倍した値と曲げモーメントで得られる曲げ応力度が断面の縁に生じていた。 (2)最大変形角について 各試験体の最大荷重時の変形角はおおよそ1/12rad〜1/30radであり,部材小径に関係なくすべての試験体で1/30radを超える変形角で最大荷重値を示した。 (3)回転剛性について 断面欠損がある部材の変形の評価方法として,断面欠損を回転バネにモデル化した評価方法を提案した。回転バネは非常に容易に扱えるモデルであるため採用した。曲げ実験結果より回転バネの回転剛性を断面欠損部分の曲げ剛性から導出する回転剛性算出式を求めた。また,断面欠損長さの影響を考慮した回転剛性算出式も同時に求めた。 (4)破壊性状 破壊性状は加力点の下端部で繊維の引張破壊のような割れが発生する場合と,加力点の下端部付近での節,目切れ,フィンガージョイントなどの欠点部分から割れが発生する場合に大別できた。後者の場合では,欠点から早期に割れが生じたので,最大荷重が低い傾向になった。
|