2006 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気性廃水処理におけるバルキング原因微生物の網羅的解析と迅速モニタリング技術創成
Project/Area Number |
18860089
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
成廣 隆 独立行政法人産業技術総合研究所, ゲノムファクトリー研究部門, 産総研特別研究員 (20421844)
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Keywords | 嫌気性廃水処理プロセス / 嫌気性バルキング / クローンライブラリ / T-RFLP / RNase H法 |
Research Abstract |
嫌気性廃水処理プロセスの普及と処理対象とする廃水種の多様化に伴い、これまでに報告されていなかった様々な運用上の問題が顕在化してきた。そのなかでも、処理プロセス内のグラニュール汚泥が突発的に浮上・流出し、処理能力が著しく低下する「嫌気性バルキング」が大きな問題となっている。このような事態を招く最大の要因は、グラニュール汚泥を形成する微生物、あるいはバルキングの原因となる微生物に関する情報が不十分で、嫌気性バルキングに対する有効な対処法が確立されていないことにあると考えられる。そこで本研究では、安定した高速廃水処理とエネルギー回収を達成できる嫌気性廃水処理プロセスの制御技術の開発を目標とし、中温フルスケールUASBプロセスから採取したグラニュール汚泥の微生物群の全体像を分子生物学的手法により網羅的に解析した。 代表的な汚泥に関してバクテリアおよびアーキアを対象とした16S rRNA遺伝子クローンライブラリを構築した。処理効率に深刻な影響を及ぼすバルキング現象が観察されたいくつかのプロセスで、門レベルで未培養の微生物群であるKSB3門細菌に近縁のクローンが検出された。様々な培養方法でKSB3門細菌の純粋分離を試みているが分離培養には至っていない。いくつかの汚泥についてT-RFLP法による簡易的な群集構造解析を行った。これらの結果から、各汚泥に普遍的に存在する微生物群、および嫌気性バルキングに関与すると考えられる微生物群を明らかにした。配列特異的rRNA切断法(RNase H法)を用いたグラニュール汚泥中の主要微生物群検出のためのDNAプローブセットを開発した。また、RNase H法を高感度化するために、16S rRNA分子の3'末端を特異的に標識する手法の開発を行った。その結果、人工的に合成した16S rRNA分子が蛍光標識されていることが確認された。
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