2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18860092
|
Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
森貞 好昭 大阪市立工業研究所, 加工技術担当, 研究員 (00416356)
|
Keywords | 摩擦攪拌接合 / 摩擦攪拌プロセス / 粒子分散強化 / マグネシウム合金 / フラーレン / 結晶粒微細化 / 硬度 / 塑性流動 |
Research Abstract |
摩擦攪拌を利用して平均粒径が1μmのSiC粒子をAZ31中に分散させた場合、AZ31の結晶粒径は〜6μm程度にまで微細化し、300℃で1h保持しても結晶粒の顕著な粗大化は観察されなかった。この結果を受け、H18年度はより微細な硬質粒子であるC_<60>を強化材として用いて研究を行った。C_<60>は微細かつ高硬度な強化粒子という観点からすると、究極的な材料である(ダイヤモンドよりも硬く、直径は約1mm)。しかしながら、C_<60>分子は通常FCCパッキングすることで数μm程度の粒子(凝集体)として存在する。この粒子(C_<60>分子ではない)の硬度は150MPa程度であり、この値は金属材料よりも大幅に低い。従来の複合化手法ではC_<60>が凝集体として金属材料中に分散するような組織となってしまい、これは悪く言えば積極的に欠陥を導入しているようなものである。 上述の背景から、摩擦攪拌プロセスの最適化(ツールの回転速度及び移動速度等)を図り、C_<60>を"分子レベル"でAZ31の摩擦攪拌接合部に均一分散することに成功した。C_<60>を分散させたAZ31接合部のTEM観察を行ったところ、C_<60>であると考えられる数mmの灰色の点がAZ31中に均一に分布している様子が観察された。更に、母材の結晶粒は劇的に微細化され、結晶粒は〜100mm程度にまで微細化された(処理前の粒径と比較すると、約1/800のサイズである)。C_<60>を複合化した効果と結晶粒微細化の効果により、C_<60>分散領域の硬度は処理前の母材の硬度の約3倍にまで増加し、これらの特性は300℃で1h保持しても維持された。このように、C_<60>の分散は摩擦攪拌接合部の高性能化を図る手段として、極めて有効であることが明らかとなった。
|