2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・メチレン葉酸還元酵素のリン酸化に関与する因子の検索
Project/Area Number |
18870005
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山田 和弘 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 特任助教授 (90431973)
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Keywords | 酵素 / 栄養学 |
Research Abstract |
平成18年度科学研究費補助金交付期間中、ヒト・メチレン葉酸還元酵素(MTHFR)のリン酸化に関与する酵素を検索する端緒として、以下のような知見を得たので報告する。リン酸化はkinaseによって行われるので、本研究では、MTHFRとkinaseのタンパク質・タンパク質相互作用が鍵である。しかし、このような相互作用における分子間の結合は一過的であり、何らかの工夫が必要になる。そこで、MTHFRに化学修飾を施し、目的タンパク質と安定な結合を形成させることでこの問題を解決しようと試みた。はじめに精製MTHFR(全長、〜78kDa)に化学修飾を試みたが、修飾される部位の特定が困難であり、本研究には特異的にkinaseと相互作用するMTHFR中のアミノ酸配列の特定が必要であると考えた。このような場合、リン酸化部位(すなわち基質となる部位)が候補となる。しかし、MTHFRをリン酸化には、リン酸化部位から約300アミノ酸離れたリンカーの認識が重要であることを明らかにした。具体的には、Pro343-Pro355のアミノ酸配列が必須である。この部分を持つMTHFRは部分的(約50%)に修飾され、酵素活性を検出することができる。この部分以外にMTHFRのリン酸化に関与するアミノ酸配列はリンカー中に観察されなかった。このPro343-Pro355は、プロリン残基の他に疎水性アミノ酸と塩基性アミノ酸に富む領域である。そこで部位特異的変異体を作成しリン酸化状態を観察したが、リン酸化に関与するアミノ酸残基の特定には至らなかった。次に、Pro343-Pro355を含むリンカー中アミノ酸配列を参考にし、ペプチドを合成した。この合成ペプチドを化学修飾し、ラベルトランスファー法をもちいて相互作用するタンパク質の検索を行った。その結果、昆虫細胞粗抽出液中にいくつかの特異的なシグナルを検出した。現在、このタンパク質の同定を行っている。
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Research Products
(3 results)