Research Abstract |
本研究では,FISH法を用いてメダカ属魚類の比較染色体地図を作製し,核型の進化過程を明らかにすることを目的としている.本年度はまずFISH用のプローブを得るため,メダカゲノム情報に基づき,メダカの各染色体上に位置するBACクローンを単離した.同時に,メダカ近縁種であるインドメダカ,ハブスメダカ,ジャワメダカからfosmidライブラリーを作製し,各種のゲノムクローンも単離した.また,メダカ(2n=48),ハイナンメダカ(2n=48),ルソンメダカ(2n=48),メコンメダカ(2n=48),インドメダカ(2n=48),ハブスメダカ(2n=48),ジャワメダカ(2n=48)の7種から初代培養を行い,染色体標本を作製した.現在,これらの染色体標本に対して,単離されたBACクローン,fosmidクローンのFISHマッピングを行っている.これまでの成果として,ルソンメダカ,インドメダカ,ハブスメダカの性染色体を同定することができた.これにより,性染色体が種間で異なることが明確に示された.ルソンメダカとインドメダカはXX/XY型の性決定システムを持つが,その性染色体はメダカの常染色体LG12およびLG10とそれぞれ相同であり,X染色体とY染色体は同形であった,一方,ZZ/ZW型の性決定システムをもつハブスメダカの性染色体はメダカ常染色体LG5と相同であり,ZW染色体間で形態的差異が認められた.W染色体にはヘテロクロマチンが蓄積しており,Z染色体よりやや大きいことが明らかになった.これらのうち,インドメダカについての成果はGenetics(印刷中)で近く発表される予定である.今後はさらに多数のクローンを用いてFISHを行い,性染色体だけでなく,染色体全体を種間で比較する予定である.
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