2006 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造予測からのタンパク質立体構造構築原理の探求
Project/Area Number |
18870011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
千見寺 浄慈 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (10420366)
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Keywords | タンパク質 / 第一原理的立体構造予測 / フラグメントアセンブリ法 / 非経験的局所構造予測 / アロステリック転移 |
Research Abstract |
タンパク質の第一原理的立体構造予測の方法の開発を通してタンパク質の立体構造構築原理を探る研究を行ってきた。特に現在最も有力とされている第一原理的立体構造予測法であるフラグメントアセンブリ法を深く理解し、この方法の問題点を明らかにし、改良しようとすることによって、立体構造予測の精度を上げると共にタンパク質の立体構造構築のメカニズムを明らかにしようとしてきた。 フラグメントアセンブリ法の方法の問題点のひとつとして、フラグメント構造の選択に配列検索などの経験的方法を使っているという点が挙げられる。この方法論では、特に新規フォールドを予測する際、正解構造に近いフラグメント構造を用意することが困難な場合が多く、それが原因で結果的に全体構造の予測に失敗する、ということが知られている。このことをモチベーションに、本年度は配列検索ではなく、物理化学的にフラグメント構造を予測する新しい方法の開発に取り組んできた。具体的にはまずPDBに登録されているタンパク質から10残基のフラグメントを抽出し、タンパク質の局所構造のとりうるであろう主鎖構造のデータベースを作成した。次に予測したいタンパク質の局所配列をそれらのフラグメント構造に対して全原子モデルでエネルギー計算を行い、天然構造とはどのようなエネルギー的な特徴をそなえているのかを調べた。その結果、天然構造は他の非天然構造と比べると、局所構造でみてもパッキングがよくされており、ファンデアワールス力によって天然構造のフラグメントを予測できる可能性を示唆する結果が得られた。 また、フラグメントアセンブリ法の応用研究として、アロステリック転移をフラグメントアセンブリ法を用いて記述することを試みた。具体的な系としてカルモジュリンをターゲットにアロステリックな構造転移が見られるかを自由エネルギーランドスケープを解析することによって調べた。その結果、この方法論でアロステリック転移をよく記述できることがわかり、局所構造の変化の伝達がアロステリック転移において重要な役割を果たしているという示唆を得た。
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Research Products
(1 results)