2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規機能に着目した細胞周期制御因子サイクリンの機能解析
Project/Area Number |
18870013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三村 覚 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (60432233)
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Keywords | 細胞周期 / CDK / サイクリン / 蛋白質リン酸化 |
Research Abstract |
真核生物の細胞周期はCDK (cyclin dependent kinase)の活性により制御されている。CDKのキナーゼ活性は制御因子であるサイクリンの結合によって活性化される。CDKのリン酸化サイトの共通配列はごく単純なS/TPXK/Rであり、実際にin vitroでは多数の基質蛋白質をリン酸化することが報告されている。しかし、CDKの細胞内での直接の標的分子は不明な部分が多い。 私はこれまでに、出芽酵母のサイクリンであるClb2が基質であるCdc6とリン酸化依存的に結合することを見いだした。本研究はこのサイクリンの新規機能に着目して、サイクリンとリン酸化依存的に結合してその活性が調節されているCDK基質を探索することにより細胞周期研究に貢献するものである。 まず、出芽酵母ツーハイブリッド系を用いて、出芽酵母Clb2に結合する蛋白質の単離を試みた。野生型CLB2遺伝子をbaitに用いた場合、細胞増殖をほぼ抑制してしまうことがわかったので、CDKと結合できないが、リン酸化依存的結合は可能なKAEAFA変異体をbaitに用いたところ、10数種の候補遺伝子を単離することができた。そのうちのいくつかは、CDKのリン酸化サイトを有しており、実際にin vitroでCDKによってリン酸化されることが報告されているものであった。今後はこれらの候補蛋白質で、Clb2とリン酸化依存的に結合するものがあるかどうか調べていく予定である。 高等真核生物でもサイクリンにリン酸化依存的に結合する蛋白質を同定する目的で、レトロウイルス発現系を用いて野生型サイクリンB1、あるいは、リン酸化依存的結合のない変異型サイクリンB1を恒常的に発現する細胞株を得ることに成功した。今後はこれらのサイクリンに結合する蛋白質を生化学的に単離し質量分析を用いた同定を行っていく予定である。
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