2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18870020
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
福田 達哉 Kochi University, 農学部, 講師 (00432815)
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Keywords | 形態適応 / キク科 / ハマベノギク属 / 蛇紋岩地帯 / 海岸地帯 / 葉 / 生態 / 開花期 |
Research Abstract |
キク科ハマベノギク属植物の形態的適応を明らかにするために、本年度は材料として、この属で最も一般的なヤマジノギク、高知県の海岸付近にのみ生息するソナレノギクおよび高知県の蛇紋岩地帯に特異的に分布するヤナギノギクを用いて、各形態形質計測を行った。ヤマジノギクは高知県高知市筆山の集団、ソナレノギクは高知県幡多郡大月町の柏島の集団、ヤマジノギクは高知県高知市一宮の集団を、それぞれ約30個体を用いて、解剖学的解析を行った。その結果、ソナレノギクは葉の横断面縦軸方向の細胞数の増大と、同方向に対する細胞間隙が大きくなることによって多肉化が、ヤナギノギクは細胞数の減少と細胞サイズの縮小によって狭葉化が起きていることが明らかになった。また、これらを実験温室内の同一実験環境下に移植して調査を行った結果、葉に関する形質は野外の状態とほとんど変化しないことが明らかとなった。さらに、複数の葉緑体遺伝子と核遺伝子を用いた集団遺伝学的解析を行った結果、異種間にほとんど変異は認められなかった。これらの結果から、ヤマジノギクからソナレノギクとヤナギノギクがそれぞれ海岸地と蛇紋岩地に適応した背景には、葉形成の際の細胞の肥大期間や細胞数の増加期間が延長または短縮することによる形態形成し、また、それらは近年分化したものという結論を得た。
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Research Products
(3 results)