2006 Fiscal Year Annual Research Report
光刺激によって誘起されるタマクラゲの卵成熟開始機構
Project/Area Number |
18870022
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹田 典代 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (40433742)
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Keywords | 卵熟成 / クラゲ / 形態 / 神経 |
Research Abstract |
暗状態から明状態への光環境の変化が引き金となり卵成熟を開始する刺胞動物タマクラゲを用い、卵成熟開始シグナル(以下"光刺激"とする)をどこで受け取り、その情報をどのように卵母細胞内へ変換しているのか、これらの情報伝達の仕組みを理解するため、まずタマクラゲ卵巣内部構造を明確にすることを目的とした。 卵巣内部構造の電子顕微鏡観察 タマクラゲ卵巣の透過型電子顕微鏡観察により、卵巣は、ヒドラで見られるような間充ゲル(メソグレア)を境とし、内胚葉から形成されると考えられている胃と、外胚葉から形成されると考えられている卵母細胞および上皮細胞から形成されていた。卵母細胞は、胃を取り囲むように主に1層に配置しており、卵母細胞はさらに2〜5マイクロメートル程度の厚みの1層の細胞に囲まれていた。上皮細胞は小胞を持ち、多数の繊毛が生えていた。一方、走査型電子顕微鏡観察では、卵巣表面の繊毛は観察に至らなかった。固定方法や細胞外マトリックス等の除去など改善が必要である。しかし、卵巣に神経細胞様の構造が多く存在していた点は特筆に値する。光刺激を受けて、卵成熟を開始することを考慮すると、その光刺激をフォトレセプターなどで受容している場合、フォトレセプターの下流に神経系の関与が予想される。そのため、タマクラゲ卵巣に神経系が存在するかどうかを、免疫組織化学を用いて確認した。その結果、LWamide, RFamideにおいて卵巣に網状に張り巡らされていることが、確認できた。
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