2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるmRNA前駆体スプライシング制御機構とその生理的意義の解明
Project/Area Number |
18870028
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大谷 美沙都 The Institute of Physical and Chemical Research, 形態制御研究チーム, 基礎科学特別研究員 (60435633)
|
Keywords | SRD2 / RID1 / mRNA前駆体スプライシング活性 / 分化全能性 / 脱分化 / 分裂組織形成 / snRNA |
Research Abstract |
本研究では、植物におけるmRNA前駆体スプライシングの動的制御機構とその生理的意義の解明を目標に解析を行っている。主な材料は脱分化、分裂組織形成に温度感受性を示すシロイヌナズナ突然変異体、srd2およびridlである。これまでにSRD2はsnRNA(small nuclear RNA)の転写活性化因子であり、RIDl遺伝子はRNAヘリカーゼをコードしていることを明らかにしてきた。 まず、両変異体でみられる奇形側根形成に関して詳細な解析を行った。野生型におけるsnRNA量変動を調べたところ、初期の段階では原基の全細胞の核に多量のsnRNAが検出されたが、側根原基の形成終了前後に蓄積量が一旦大きく低下し、その後再び上昇するという興味深いパターンが見出された。srd2変異体では側根形成関連遺伝子の発現様式の撹乱とともに、snRNA量の顕著な低下が観察され、結果として正常な分裂組織を欠いた瘤状側根形成が観察された。以上は、分裂組織の構築・確立にはSRD2に依存したsnRNAの蓄積が重要であることを示しており、rid1変異体も同様の表現型を示すことから、snRNAとRID1の共通分子機能であるスプライシングの活性制御が分裂組織形成には不可欠であると考えられる。 また、胚軸脱分化過程を対象としたタイリングアレイを行い、両変異が及ぼす遺伝子発現、特にスプライシングパターンへの影響の網羅的検出を試みた。これまでにいくつかの遺伝子についてスプライシング異常を確認している。スプライシング活性可視化のためには、様々なイントロン配列を導入した蛍光タンパク質遺伝子を複数作製し、形質転換植物体の作出を行った。さらにこれらと変異体の交配を進め、スプライシング活性異常をin vivo検出するシステム構築を行った。以上は今後の研究の基盤となる成果であり、これらを利用したさらなる解析を予定している。
|
Research Products
(4 results)