2006 Fiscal Year Annual Research Report
エンドポリガラクツロナーゼの超原子分解能結晶を用いた酵素反応の直接観察
Project/Area Number |
18870029
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清水 哲哉 独立行政法人理化学研究所, 研究技術開発室, 協力研究員 (80435651)
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Keywords | X線結晶解析 / 構造生物学 / タンパク質と酵素 |
Research Abstract |
一般酸塩基触媒により行われる酵素エンドポリガラクツロナーゼ(endoPGI)の反応機構を水素原子の挙動を含め解明するため、1)超原子分解能データ収集のための結晶化および測定条件の検討、2)変異体酵素と基質の超原子分解能X線結晶構造解析を試みた。 1)大腸菌発現endoPGIのの構造解析の結果、Cys300-Cys303がジスルフィド結合している分子(SS型)としていない分子(SH型)の混合物と考えられた。この分子の欠陥は、更なる分解能向上の障害と考えその除去を試みた。SH体の変性温度が低いことを利用し、熱処理後に残った酵素のみを結晶化した。また、従来の結晶化では、容器から結晶を剥がすため一旦沈澱剤濃度を下げる必要があり結晶性への影響がと考えられた。そこで、高比重液体フロリナートの上に浮かせて結晶化を行った。得られた結晶、SPring-8のBL41XUにて、窒素クライオ条件で測定を行った。その結果、最高で0.56Åの超高分解能の回折点を確認した。しかし、放射緑損傷が激しくデータ処理後の分解能は0.74Åにすぎず、超原子分解能測定にはヘリウムクライオ装置が必須であることを確認した。一方、その電子密度から、上記の結晶化によりSS型のみが結晶化したことを確認した。 2)事前の予備実験で、変異体D153NおよびD173Nの結晶を基質ガラクツロン酸6量体を含む溶液に浸漬することで複合体が得られることを確認した。そこで、分解能向上のため両結晶を大型化し、BL41XUに測定を行った。その結果、両複合体とも0.8Åを超える高分解能の回折点が得られた。しかし、1.4Å分解能での予備解析の結果、両複合体とも基質の電子密度が薄く、占有率が低いことが確認された。従って、水素を含めた構造解析には、大型結晶で基質の占有率の高い複合体作成条件の再検討が必要であることが分かった。
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