2007 Fiscal Year Annual Research Report
エンドポリガラクツロナーゼの超原子分解能結晶を用いた酵素反応の直接観察
Project/Area Number |
18870029
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清水 哲哉 The Institute of Physical and Chemical Research, 研究技術開発室, 協力研究員 (80435651)
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Keywords | X線結晶構造解析 / 構造生物学 / タンパク質と酵素 |
Research Abstract |
1)EndoPGI塩基触媒残基はAsp153とAsp174の二つの候補が上げられている。そこで、超高分解能解析により水素原子を含めた構造解析により両残基の解離状態の違いを観察することで塩基触媒の特定を試みた。以前の野生型酵素と生成物ガラクツロン酸(GalA)の複合体の超高分解能解析では、活性中心付近にGalAのフラノーズ型の異性体が低い占有率で結合し、結果、構造が乱れ水素原子の観察が出来なかった。そこで、フラノースの結合に関与するSer201をAlaに置換したS201A変異体を発現、精製、結晶化し、そのGalA複合体結晶を解析に使用した。測定は、SPring-8のBL41XUで行い、反応の至適であるpH5.0と不活性なpH2.7の二つの条件で、それぞれ0.8Åを越える分解能のデータを得た。解析の結果、活性中心にフラノースの結合は確認されなかった。また、pH2.7の条件において、Asp153とAsp174の内、前者のみがプロトン化を受けたと思われるピークが差フーリエマップ上で観察され、現在その確認のため更なる構造精密化を行っている。 2)活性に重要なAsp残基をAsnに置換した変異体酵素D153NおよびD173Nと基質GalA6量体の超高分解能解析による水素を含めた構造解析を試みた。昨年の解析では、基質の占有率が不十分なため活性に関わる水素原子を観察出来なかった。そこで、占有率を改善するため、NaCl濃度下げ、沈殿剤PEGをより高分子量し濃度を下げることで、基質の溶解度を高めた溶液を作成し、それに結晶を浸漬後、BL44B2にて0.8Å以上データ収集を行った。しかし、解析の結果、両変異体とも十分な占有率の基質結合を得ることが出来なかった。したがって、酵素基質複合体中での水素原子の観察には、加水分解耐性な基質アナログの利用が必要と考えらる。
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