2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18870030
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上野 剛 独立行政法人理化学研究所, 研究技術開発室, 先任技師(研究職) (00435629)
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Keywords | 構造生物学 / X線結晶構造解析 / タンパク質結晶自動評価 / 放射光 / ビームライン / 迅速測定 / 放射線損傷 |
Research Abstract |
本研究課題では放射光構造生物学ビームラインにおける回折実験において、研究者が従来目視で行ってきた回折像評価の自動化を目指し、CCD等の検出器で測定された2次元ピクセル配列からなるデジタル回折像データを取り扱うソフトウェアの開発を行っている。本年度は研究代表者がすでに開発済みの回折像表示ソフトウェアを基本とし、ピークサーチ機能の追加やスポット数計上および分解能別度数分布計算などの統計処理機能の追加により、回折スポットが得られない結晶、低分子化合物等不純物の結晶、必要とする分解能が得られない結晶、などの自動抽出を目的として研究開発を行った。 ピークサーチは回折像を細分化した小領域を2次元スキャンして回折スポットを見出すアルゴリズムを実装した。これにより画像内の局所的なバックグランドレベルの見積りが短時間で実行可能となった。また分解能別度数分布の計算ルーチンを付加しアイスリングの検出および最大分解能の自動見積もりを可能とした。ソフトウェアの開発ではSPring-8理研構造ゲノムビームラインにおいて蓄積されたデータを試験データとして利用したほか、各種タンパク質や低分子化合物のテスト結晶を作成し試験試料として利用した。これまでの試験結果では、目視による分解能判別とほぼ同等の計算結果を与える事に成功している。現在の所1回折像あたり平均2秒程度で判定することができる。当面の課題は更なる高速化と、氷による回折スポットや低シグナル回折像で目立つ検出器ノイズに対する施策である。 次年度はソフトウェア開発・高度化を継続しさらに追加機能として回折スポット形状解析など、研究者による結晶評価の補助となる機能を付加する。最終的には本システムをビームラインの制御ソフトウェアに組み込むことにより、測定と連動したリアルタイムでの結晶評価や、データ収集中の放射線損傷の自動モニターへの応用も視野に入れている。
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