2006 Fiscal Year Annual Research Report
全能性の再確立に関わる始原生殖細胞の核内基盤の解明
Project/Area Number |
18870031
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関 由行 独立行政法人理化学研究所, 哺乳類生殖細胞研究チーム, 基礎科学特別研究員 (20435655)
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Keywords | 始原生殖細胞 / リプログラミング / ヒストン / メチル化 |
Research Abstract |
我々のグループは,本年度の研究を開始する以前に,形成直後の始原生殖細胞においてゲノムワイドなDNA,H3K9の脱メチル化,H3K27のトリメチル化の高メチル化が誘導されることを発見しており,このような現象が生殖細胞における全能性の再獲得機構の一端を担っていると推測していた.本研究では,始原生殖細胞におけるゲノム修飾の再構成に関わる分子基盤を解明することを目的とし,移動過程の始原生殖細胞における転写活性,細胞周期を免疫染色ならびにFACS解析より経時的かつ解析した.その結果,始原生殖細胞は形成直後にG2停止を起こし,G2期の状態でH3K9の脱メチル化,グローバルな転写抑制,H3K27トリメチル化を順序よく誘導することが明らかとなった.H3K9の脱メチル化過程においてDNA複製が起こらないことから,H3K9の脱メチル化は複製非依存的かつ積極的な機構が関わっている可能性が示唆された.したがって,近年ヒストンの脱メチル化活性が示されたjmjCドメインを持つすべての分子の発現をQ-PCRにより解析した.予想に反して,jmjCを持つ分子で始原生殖細胞に発現が特異的な分子が観察されなかったため,ヒストンのメチル化酵素の発現抑制とヒストンのターンオーバーもしくは置換が協調してH3K9の脱メチル化を誘導している可能性を考え,ヒストンのメチル化活性を持つSETドメインを有する分子の発現を網羅的に解析した.その結果,H3K9のメチル化酵素であるGLPが始原生殖細胞で特異的に発現が抑制されることが明らかとなった.本研究においてヒストンの脱メチル化反応の一つのモデルが提唱することができたと考えている.
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Research Products
(1 results)