2006 Fiscal Year Annual Research Report
草食動物消化管内での繊維分解において真に重要な細菌群の特定
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18880002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小池 聡 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 特任助手 (90431353)
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Keywords | 反芻動物 / ルーメン細菌 / 植物繊維分解 / 16S rDNA / real-time PCR |
Research Abstract |
本課題の平成18年度における達成目標は、 1.16S rDNAライブラリー解析による繊維分解に関与する細菌群の特定 2.真に重要な細菌群の候補選抜 3.それらに対する高精度定量系(real-time PCR定量系)を確立 の3点であった。 1および2点目については、5種類の異なる植物種を用いて、それらに付着する細菌群の構成を明らかにした。その結果、植物種を問わずBacteroides属およびPrevotella属と考えられる配列が多数みられたことから、これらのグループが繊維分解に深く関与している可能性をつきとめた。一方、マメ科植物とイネ科植物でそれぞれに特徴的な細菌グループも検出され、植物種によって分解に関与する細菌グループが異なる可能性を明らかにした。 達成目標3については、代表的なルーメン細菌11菌種に関してreal-time PCRによる高精度定量系の確立を行い、検証の結果、ルーメン内で標的菌種を追跡するための十分な信頼性を有する定量系であった。この高感度・高精度定量系を応用し,ヒツジルーメン内でin situ培養したイナワラに付着する標的菌種を定量した。その結果、標的とした繊維分解菌の中でFibrobacter succinogenesの分布量が最も高く,総細菌に占める割合は2.61%であった。Selenomonas ruminantiumやStreptococcus bovisといった非繊維分解菌も検出され,総細菌に占める割合はそれぞれ8.96%および1.16%であった。植物繊維片上で非繊維分解菌が高レベルでみられたことは,イナワラの分解に繊維分解菌だけでなく非繊維分解菌も大きく関与することを示唆しており,両者の協調関係の形成がうかがわれた。 なお、達成目標3の成果は学術誌に掲載済みである。
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Research Products
(1 results)