2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18880005
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
南 杏鶴 岩手大学, 21COE, 研究員 (70400190)
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Keywords | 植物 / 低温馴化 / プロテオーム / 可視化 |
Research Abstract |
生体膜脂質の物理的特性は温度依存的に変化する。脂質とタンパク質から構成される細胞膜は、微量膜脂質であるスフィンゴ脂質の物理的特性から微小ドメイン(マイクロドメイン)を形成していると考えられている。このスフィンゴ脂質に富む膜画分は、生化学的に非イオン性界面活性剤不溶性膜(DRM)画分として単離される。動物細胞では、シグナル伝達や膜輸送の場としての細胞膜マイクロドメインの機能が指摘されているが、植物細胞における機能解析例は少ない。 植物シロイヌナズナは低温にさらされると凍結ストレスに対する耐性が増大する(低温馴化)。また、低温馴化過程で起こる細胞膜組成の変化が凍結耐性に影響を与えることが推察されている。本研究では、細胞膜マイクロドメインを構成する膜タンパク質の低温馴化及び凍結耐性への関与について検証するため、低温馴化過程における細胞膜マイクロドメイン局在タンパク質のダイナミクスとタンパク質の機能推定を試みた。 低温馴化過程における植物シロイヌナズナ細胞膜DRMタンパク質のプロテオーム解析には、蛍光ディファレンスゲル二次元電気泳動法を用い、タンパク質の同定には、MALDI-TOF-MS解析及び、LC-MS/MS解析を用いた。その結果、DRMタンパク質の発現パターンが低温処理によって量的・質的に変動することが明らかとなった。DRMタンパク質にはH^+-ATPaseや水チャネル、細胞骨格系タンパク質の他、細胞膜脂質・膜タンパク質の再構築への機能が推察されるタンパク質群が多く同定され、そのなかの幾つかが低温処理によって発現変動することが明らかとなった。低温順化過程のシロイヌナズナでは、細胞膜を構成する脂質・タンパク質組成が劇的に変化する。このことから、低温順化過程で起こる積極的な細胞膜の再構成の場として細胞膜マイクロドメインが機能していることが考えられた。
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