2006 Fiscal Year Annual Research Report
タバコモザイクウイルス複製複合体の構成因子および挙動解析
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18880016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川上 茂樹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特任助教授 (90432509)
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Keywords | 複製複合体 / 移行タンパク質 / TMV / 複製酵素 / VRC / 細胞間移行 |
Research Abstract |
TMVは感染細胞内でER膜上に移行タンパク質を含んだVirus replication complex(VRC)を形成する.VRCは時間とともに細胞内を移動し,最終的には原形質連絡を経由して隣接細胞へと移行して行くことを以前に報告した.しかし,複製酵素が直接細胞間移行しているという報告はまだない.そこで我々は移行タンパク質非存在下における複製酵素の細胞間内および細胞間移行能の有無を明らかにするため,坑ウイルスタンパク質抗体を用いた免疫沈降法でウイルス移行タンパク質を主とするウイルス移行型複合体とウイルス複製酵素を主とするウイルス複製複合体が同一のものであるか調べている。現在のところ、TMVの移行タンパク質が含まれるウイルス移行型複合体には多くのウイルス複製酵素(126-kDaおよび183-kDaタンパク質)が共に含有されていることが始めて明らかになった。一方、坑ウイルス複製酵素抗体を用いた免疫沈降法でウイルス複製複合体を精製したところ、移行タンパク質が多く含まれていることが明らかにした。複製酵素のヘリカーゼドメインに変異を入れた変異TMV(URhel)は十分な複製能力を保有しているが、細胞間移行が出来ない株である。このURhelを同じ実験系に乗せたところ、URhelの複製複合体には、野生株のTMVに比べて含有される移行タンパク質の量が著しく低く抑えられていることが明らかにされた。現在は免疫沈降法の改善を試み、坑ウイルス抗体のコンタミの無いウイルスタンパク質複合体を精製するため試行錯誤しているところである。いずれ、移行タンパク質と複製酵素の細胞間移行および複製に果たす役割を明らかにしたい。
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