2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本版森林生態系土壌モデルの構築と土壌炭素動態の将来予測
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18880032
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
橋本 昌司 Forestry and Forest Products Research Institute, 立地環境研究領域, 研究員 (90414490)
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Keywords | 土壌炭素 / 物質循環 / モデリング / 地球温暖化 / スギ・ヒノキ |
Research Abstract |
本研究では、日本の代表的な人工林樹種であるスギ・ヒノキ林を対象とし、今後の気候変動下における森林土壌炭素の動態を予測できるモデル構築を目標としている。 今年度は、国土数値情報、メッシュ気候値2000、土壌データ閲覧システムのデータベースを用いてモデルの気候・土壌入力ファイルを1kmメッシュで整備し(全国約390000点)、森林を対象にCENTURYモデルを適用し(約250000点)、純一次生産量(NPP),植生バイオマス量、土壌炭素量について既存の報告と比較を行った。 その結果、モデル中の樹木成長最適温度をチューニングすることで、12地点のNPPを良好に再現することができた。しかし、収穫試験地で報告されている植生バイオマスの時系列データに対しては、モデルは幼齢期に過大評価することがわかった。土壌データ閲覧システムで整備された1940年代から1980年代の土壌炭素量に対して、モデルは20%程度過大評価することが明らかになった。本シミュレーションにおいては、森林利用を通じた植物バイオマスの森林系外への持ち出しや、土壌浸食を通じた土壌炭素の系外への移出が含まれていない。このことが土壌炭素過大評価の主因であると推察した。すなわち、日本の土壌炭素をシミュレートするには、生態系の物質循環モデリングでよくみられる"土壌炭素が定常である"という仮定をもちいることは難しいと考えられる。今後、将来予測を行っていくためには、現在の土壌炭素量蓄積レベルを正確に評価していく必要がある。
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