2006 Fiscal Year Annual Research Report
イネ果皮着色遺伝子の選抜マーカーへの利用とそのジーンターゲッティング
Project/Area Number |
18880037
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
雑賀 啓明 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物科学研究領域・遺伝子組換え技術研究ユニット, 研究員 (20435613)
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Keywords | 遺伝子組換え植物 / ジーンターゲッティング / 選抜マーカー / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
(1)抗生物質に代わる新しい選抜マーカーの作製 イネカルスにおいて、着色形質が選抜マーカーとして利用できることを確認するために、緑色蛍光タンパク質GFPを用いた予備実験を行った。GFP遺伝子をCaMVの35Sプロモーターで発現させるコンストラクトを導入した日本晴カルスを用いて、抗生物質を利用せずに、青色光を照射して緑色蛍光を発するカルス塊だけを選抜することに成功した。さらに、抗生物質選抜により得られた形質転換カルスとの比較を行ったところ、可視選抜で得られた形質転換カルスはGFPの発現量が顕著に高いことが示された。次に、アントシアニンによるカルス着色を選抜マーカーとして利用できるかを検討した。アントシアニン合成には、転写因子と機能的なDFR遺伝子が必要である。通常イネカルスでは、転写因子が発現していないため、アントシアニンが蓄積しない。そこで、機能的なDFR遺伝子を持つイネ品種カサラスに、35Sプロモーターで転写因子を発現させるコンストラクトを導入した。その結果、形質転換カルスではアントシアニンの蓄積によると思われる紫色の着色が確認された。以上の結果から、抗生物質を利用せずに形質転換カルスを選抜する方法として、アントシアニンやGFPといった可視的マーカーが利用できることが示唆された。 (2)GTによる目的遺伝子の人為的改変 日本晴やコシヒカリはDFR遺伝子のORF内に終止コドンが生じているため、機能的な翻訳産物が作られない。そこで、GTによってコシヒカリ及び日本晴DFR遺伝子の改変を行うために、DFR遺伝子の開始コドンから上流約7kbと下流約1kbを含み、ORF内に生じている終止コドンを修正したバイナリーベクターを作製した。さらに、GTに成功したカルスを可視的に選抜するために35Sプロモーターで転写因子を発現させるコンストラクトを導入した日本晴、コシヒカリを作製した。
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