2006 Fiscal Year Annual Research Report
圃場抵抗性遺伝子Pb1の起源と機能に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
18880038
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
井上 晴彦 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物科学研究領域耐病性研究ユニット, 研究員 (10435612)
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Keywords | イネ / シグナル伝達 / マイクロアレイ / いもち病 |
Research Abstract |
いもち病ほ場抵抗性遺伝子Pb1の単離がほぼ完了した。Pb1候補遺伝子タンパク質は、NB-LRRを含むRタンパク質様の構造を持つことから、タンパク質間相互作用によって病原体由来の因子または病原体因子のターゲットとなる植物側の因子を認識すると予想される。本年度は、yeast two-hybrid systemを用い、Pb1タンパク質と結合するタンパク質の同定を試みた。具体的には、いもち病菌を接種したイネのRNAを用いてイネおよびいもち病菌の発現遺伝子を含むcDNA(prey)ライブラリーを作製し、Pb1タンパク質のLRR-domainを含む部分領域(LRR-domain)およびN末側の部分領域(N-domain)をbaitとして用いてスクリーニングを行った。LRR-domainをbaitとしたスクリーニングでは、430万個のクローンをスクリーニングしたがPb1相互作用因子の遺伝子単離には至らなかった。preyライブラリーが不適切であったことが考えられるので、いもち病感染初期のイネからpreyライブラリーを新たに作製している。一方、N末端側のN-domainは、酵母での発現が確認できなかったため、さらに3つに分断した部分領域をbaitとして用いる試みを行っている。 Pb1のいもち病抵抗性は、穂への感染(穂いもち)に対して特に高い効果を示す。Pb1遺伝子の発現の組織特異性および時期特異性がこのことと密接に関連していることが推測されるため、これを検証するため、Pb1候補遺伝子の発現制御配列を含むことが推測される上流配列をGUS遺伝子の上流につないだレポーター・コンストラクトを作製し、イネに導入した。また、Pb1によって認識されたいもち病感染の情報が伝えられるシグナル伝達経路およびその下流の発現遺伝子を解析するため、35Sプロモーターの制御下にPb1候補遺伝子を配置したコンストラクトを作製し、イネに導入した。これらの形質転換イネは、現在種子を確保するために栽培中である。
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