2006 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素変性症原因遺伝子PAP-1を介した新たなPim-1シグナル伝達経路の解析
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18890001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米田 宏 北海道大学, 大学院薬学研究院, 助手 (60431318)
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Keywords | スプライシング / シグナル伝達 / 網膜色素変性症 |
Research Abstract |
研究計画に基づき、PAP-1遺伝子の発現抑制株をRNAiを利用したベクターにより作製した。当初の予定では網膜由来の培養細胞で発現抑制株を作製する予定であったが、遺伝子導入法を変えながら試したものの目的の細胞株は網膜由来の培養細胞からは得られなかった。そこで遺伝子導入効率が高いヒト培養細胞株で、PAP-1の発現を比較し、PAP-1発現の高かった骨肉腫由来U2OS細胞にてPAP-1発現抑制株を作製した。得られたPAP-1発現抑制株はPAP-1発現が通常の10-30%に抑制されていたがその増殖はもとの細胞株と比較しても変化は見られなかった。そこで、これまでの我々の研究からPAP-1の強制発現によってスプライシングパターンの変化が見られたレポーター遺伝子を用いて、PAP-1発現抑制細胞株でそのパターンに変化が生じるかを検討した。その結果レポーター遺伝子を単独で導入した場合にはPAP-1の発現抑制はスプライシングに影響を与えなかったが、PAP-1の上流因子と考えられるPim-1セリンスレオニンキナーゼを共導入したところ、親株ではPim-1によりレポーター遺伝子のスプライシングパターンが大きく変化したのに対し、PAP-1発現抑制株ではその変化がほぼ見られなくなっていた。このことはPim-1によるスプライシングパターンの調節はPAP-1を介して行われている可能性を示唆しており、Pim-1とPAP-1が同じシグナル経路上に存在することを示唆する初めてのデータである。一方、もう一つの初年度の研究目的である網膜由来細胞でPAP-1発現を調節する刺激の同定であるが、血清飢餓や酸化ストレス、プロテアソーム阻害剤などではPAP-1のmRNA、タンパク質量ともに大きな変化はなかった。今後さらに様々な条件を試していく必要があると考えられる。
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