2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18890002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
富居 一範 北海道大学, 大学院医学研究科, 助手 (20431306)
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Keywords | 肺高血圧症 / 疾患モデル動物 / HTLV-I / 肺動脈肥厚 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
本研究では、難治性疾患である肺高血圧症の病態生理に密接に関連した病理学的所見として知られる肺動脈肥厚のメカニズムを解明するため、モデル動物を用いて解析した。 我々の樹立したヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)のenv-pX遺伝子を導入したトランスジェニックラット(env-pXラット)では、同週齢の正常ラットに比較して、肺内の中小動脈における血管内膜および中膜の肥厚が認められた。本年度は、env-pXラットにおける肺動脈肥厚の要因について、env-pX遺伝子を発現するリンパ球が重要であるか、標的組織である肺血管におけるenv-pX遺伝子の発現が重要であるかを、脾細胞移入実験によって解析した。疾患発症前のenv-pXラットから脾臓を摘出し、単核球を分離した。これを致死的に放射線照射した同系正常ラットに静脈内投与し、6ヶ月後に屠殺して、肺の所見を病理組織学的に解析した。この結果、env-pX遺伝子を発現する脾細胞を正常ラットに移入した群において、コントロール群に比べて有意な肺動脈壁の肥厚が認められた。したがって、肺動脈が肥厚するメカニズムにおいては、env-pX遺伝子を発現するリンパ球の存在が発症に必須な因子であることが示唆された。リンパ球が肺動脈壁を肥厚させるメカニズムとしては、リンパ球の産生するサイトカイン、細胞増殖因子等の液性因子や、接着分子を介したシグナルの伝達、リンパ球による内皮傷害とその修復機序などが想定される。
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Research Products
(6 results)