2006 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Arid5bの心血管・免疫系細胞における役割の解明と動脈硬化治療への応用
Project/Area Number |
18890006
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石森 直樹 北海道大学, 北海道大学病院, 助手 (70399848)
|
Keywords | 動脈硬化 / 修飾遺伝子 / マウス / QTL解析 / メタボリックシンドローム / 肥満 / 高脂食 |
Research Abstract |
これまでの我々の分子遺伝学的研究より、動脈硬化病巣修飾遺伝子として転写因子Arid5bは非常に重要であることが示されている。しかしArid5bの生体内における機能についてはいまだ詳細が不明である。まず我々は、高脂食投与マウスを用いてArid5bの遺伝子発現について検討した。2ヶ月齢雌性C57BL/6(B6)マウスを用意し、その一部を普通食から高脂食に変更して2週間飼育したのち、普通食および高脂食投与B6マウスより大動脈・肝臓・脂肪組織・心臓を回収し、Realtime PCR法を用いて肥満がArid5b発現に与える影響を検討した。 高脂食を2週間投与したB6マウス群(高脂食群)と、普通食を継続投与したB6マウス群(普通食群)との間で、体重や内臓脂肪重量に差を認めなかったが、脂肪細胞サイズは高脂食群で有意に大きく、高脂食投与による脂肪細胞の肥大化が確認された。普通食群でのArid5b発現は、脂肪組織>大動脈>肝臓>心臓の順で発現が強く認められた。高脂食群の組織発現パターンは普通食群と同様であったが、脂肪組織での発現レベルは普通食群に比べ半分以下に抑制されていた。高脂食による脂肪細胞の肥大が起こりはじめた比較的早い段階でArid5bの発現が抑制されていた事実は、Arid5bが脂肪細胞の分化増殖に深く関与していることを示唆する。 メタボリックシンドロームは動脈硬化進展の基盤として重要であるが、その中でも肥満は特に重要な要素である。今回の結果からエネルギー過剰状態において、転写因子Arid5bの下流にある何らかの因子が動脈硬化進展を規定していることが推察される。現在Arid5bの詳細な機能解析を行なうためArid5b欠損マウスを樹立中である。
|