2007 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Arid5bの心血管・免疫系細胞における役割の解明と動脈硬化治療への応用
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18890006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石森 直樹 Hokkaido University, 北海道大学病院, 助教 (70399848)
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Keywords | 動脈硬化 / 修飾遺伝子 / マウス / QTL解析 / メタボリックシンドローム / 肥満 / 高脂肪食 / 転写因子 |
Research Abstract |
動脈硬化症は環境因子と,遺伝因子とが複雑に絡み合う多因子疾患である.食事などの環境因子については解明がすすみ一次・二次予防に活用されているが,家族歴など遺伝因子については不明な点が多く,動脈硬化性疾患を制御するには充分な検討が必要である.マウスを用いた分子遺伝学的研究(QTL解析)では,新規転写因子Arid5bが修飾遺伝子として病巣進展を規定していることが示唆されているが,Arid5bの動脈硬化病巣進展で果たす役割については全く不明である. 近年,動脈硬化症の危険因子としてメタボリックシンドロームが注目されている.エネルギー過剰による肥満状態では内臓脂肪組織を中心に慢性炎症が惹起されている.我々はArid5bが内臓脂肪組織での慢性炎症に関与するとの仮説を立てて実験を行った. 雌性C57BL/6マウスを高脂肪食あるいは,普通食で2週間飼育したのち犠性死させ,大動脈・肝臓・内臓脂肪・心臓を回収しRealtime PCR法にて各臓器でArid5b遺伝子発現レベルを確認した.Arid5bの発現は脂肪組織で最も強く,高脂肪食の投与により有意に発現が低下した.高脂肪食投与マウスでは脂肪細胞の肥大化が確認されたが,体重や内臓脂肪重量の増加は認めなかった.すなわち肥満前のエネルギー過剰状態ですでにArid5bの発現が低下しており,Arid5bが脂肪細胞の肥大化に関与していることが示唆された.脂肪細胞はアディポサイトカインを分泌し,炎症細胞と相互作用して局所の慢性炎症が規定される.転写因子Arid5bは内臓脂肪組織での慢性炎症に関与する可能性があり,内臓脂肪肥大・慢性炎症との因果関係を確認するため,現在Arid5b欠損マウスを樹立し,機能解析中である。
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Research Products
(2 results)