2006 Fiscal Year Annual Research Report
褥瘡、慢性難治性皮膚潰瘍に対する局所管理方法の検討
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18890032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 恵美 東北大学, 医学部, 助手 (10431595)
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Keywords | 感染症 / 皮膚組織 / 創傷治療 |
Research Abstract |
皮膚潰瘍創実験モデルの確立 難治性皮膚潰瘍に対する局所管理方法を検討するにあたり、創傷治癒遅延原因と考えられている感染と虚血状態との関連性に注目し、動物実験モデルの作製に取り組んできた。 成熟雄SDラットを用い、実験(虚血)群には背側皮膚に単茎皮弁(18mm×55mm)を皮筋上に作製した後、6mmパンチで分層創を作製、細菌(GFPの発現プラスミドを組み込んだ緑膿菌PAO1株5×10^5cfu/wound)を接種した後閉鎖環境においた。一方、対照群として背側皮膚に6mmパンチで作製した分層創を用いた。組織は細菌接種8時間、1、3、7、14日目に摘出した。 光学および電子顕微鏡的に観察した結果、上皮化の程度、細胞成分の動態、バイオフィルム形成について詳細に観察することができ、有用な感染実験モデルといえる。 感染と虚血状態との関連性 本実験より、バイオフィルムは虚血群に対し対照群において発達する傾向を認めたことから、虚血状態はバイオフィルム形成を促進しないことが示唆された。 その他 表皮の欠損を認めない創周囲や表皮が連続性を回復したのちの皮膚に付着する活発な細菌群を認め、臨床的にはこういった付着物が医療者を介し、感染の拡大をもたらすことも考えられた。 今後、本実験モデルを用い、細菌が創傷治癒に与える影響について検討していくとともに、抗菌剤以外の感染抑制効果を有する物質(高浸透圧物質である蜂蜜やポリマーなど)について検証していく予定である。 実験成果の発表 平成18年度得られた結果のうち、皮膚潰瘍創における細菌バイオフィルム形成の検討について専門学会での発表を行なった。
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