2006 Fiscal Year Annual Research Report
家族性パーキンソン病責任遺伝子産物LRRK2の機能解析
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18890053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 弦太 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (10431892)
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Keywords | パーキンソン病 / キナーゼ / GTP結合タンパク質 |
Research Abstract |
優性遺伝性家族性パーキンソン病(FPD)の中でも頻度の高いPARK8の病因遺伝子産物LRRK2は、Ras様低分子GTP結合蛋白質ドメイン(Rocドメイン)、キナーゼドメインを併せ持つ約2500アミノ酸からなる蛋白質であるが、そのキナーゼ活性の制御機構や基質は明らかになっていない。まず、FPD変異型LRRK2のキナーゼ活性を検討したところ、最も頻度の高いキナーゼドメイン内の変異G2019Sでは、野生型に比べてキナーゼ活性が有意に上昇することを確認した。次に、RocドメインへのGTP結合とキナーゼ活性の機能的関連を調べた。Rasなどの低分子量G蛋白質のGTP結合能を喪失させることが知られているアミノ酸置換をRocドメインに導入したところ、LRRK2のGTP結合能がin vitroにおいても培養細胞内においても消失した。GTPを結合しない変異体は、自己リン酸化活性を持たず、人工基質であるミエリン塩基性蛋白質(MBP)もリン酸化しなかった。興味深いことに、GTPを結合しない変異体では、培養細胞内でのLRRK2自身のリン酸化も消失した。これらの結果から、LRRK2のRocドメインへのGTP結合は、LRRK2の細胞内におけるリン酸化に必要であるとともに、そのキナーゼ活性にも必要であることが示唆された。LRRK2を細胞内でリン酸化するキナーゼを同定するため、代謝ラベリングと同時に様々なキナーゼ阻害剤で細胞を処理し、LRRK2のリン酸化の変化を検討した。その結果、PKA阻害剤として知られるH-89とKT5720でLRRK2のリン酸化が阻害されることを見出した。また、LRRK2はin vitroにおいてPKAによってリン酸化された。これらの結果から、PKAがLRRK2をリン酸化する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)