2006 Fiscal Year Annual Research Report
新たな脂肪細胞機能制御分子としての脂肪細胞内eNOSの役割の解明
Project/Area Number |
18890055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 和至 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (40420210)
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Keywords | 内臓脂肪 / メタボリックシンドローム / eNOS / Akt |
Research Abstract |
内臓脂肪組織は、脂肪分解活性が高く、このことがメタボリックシンドロームの病態形成に中心的な役割を果たしている。しかしながら、脂肪分解の分子メカニズムは十分には明らかにされていない。我々は、eNOSが内皮細胞のみならず、脂肪細胞においても、異所性に発現していることを明らかにした。そこで、本研究の目的は、脂肪分解における脂肪細胞内eNOSの役割を明らかにすることである。3T3-L1マウス前駆脂肪細胞は、無刺激の状態では、eNOSはタンパクレベル(ウエスタンブロット)でもmRNA(real-time RT-PCR)でも、発現が認められなかった。インスリン、デキサメサゾン、IBMXによる分化刺激により、3T3-L1前駆脂肪細胞は、約10日間で成熟脂肪細胞に分化するが、この分化の課程において、eNOSタンパクならびにmRNA発現は、劇的に誘導された。一方、iNOSならびにnNOSの発現は認められなかった。eNOSタンパクの発現のピークは、刺激後7日目において認められ、これは分化に必須の転写因子であるPPAR-gamma2やC/EBP-alphaの発現動態とほぼ同様であった。成熟させた3T3-L1脂肪細胞に対し、イソプロテレノール刺激を行うと、脂肪分解の促進(培養上清へのグリセロール分泌)とともに、PKAの活性化ならびにPKA依存性のホルモン感受性リパーゼの活性化が認められた。また、同時に、Aktの活性化ならびにAkt依存性のeNOSの活性化が誘導された。eNOSの選択的阻害薬であるL-NIOの全処置により、イソプロテレノールによる脂肪分解は有意に増強した。また、siRNAを用いたeNOS遺伝子のノックダウンによっても同様に、脂肪分解は有意に増強した。脂肪細胞において異所性に発現しているeNOSは、脂肪分解に対して抑制的に作用する可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)