2006 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症、子宮内膜癌の発症・進展におけるTLR-MyD88経路についての研究
Project/Area Number |
18890060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 哲也 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (30431860)
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Keywords | TLR / 子宮内膜 / 自然免疫 / 月経周期 |
Research Abstract |
(1)ヒト子宮内膜におけるTLR2,TLR3,TLR4,TLR9mRNAの月経周期における発現の変化と局在について検討した。同意を得た上で、良性疾患のために手術をうけた患者の摘出検体より子宮内膜組織を一部採取した。それらの子宮内膜組織を用い、定量的PCR、 in situ hybridaization法にて、TLR2,TLR3,TLR4,TLR9mRNAの月経周期における発現の変化と局在について検討した。それぞれのTLRmRNAは、同様の月経周期による発現量変化のパターンを示し、月経のあたりに発現が高く、排卵の時期に発現は低い傾向がみられた。ISHの結果では、上皮にTLR3mRNAの発現が高く、間質にTLR4mRNAの発現は高かった。TLR2,TLR9mRNAは、上皮と間質で発現は同等であった。また、子宮内膜組織より子宮内膜細胞を分離培養し、エストロゲン(E)、プロゲステロン(P)を添加し、その効果につき検討したところ、EによりTLR4mRNAの発現は低下し、Pによりその発現が上昇することが解った。 これらのTLRの発現パターンの違いが、子宮内膜における自然免疫機構において重要な役割を果たしているのかもしれない。また、女性ホルモンにより、その周期的変化がコントロールされていることが解った。 (2)子宮内膜症とIL-17について 子宮内膜症とIL-17について検討した。まず、子宮内膜症組織においてIL-17陽性細胞は腺上皮直下に集積していることを確認した。また、子宮内膜症患者の腹水中にIL-17陽性T細胞が存在することを確認した。また、子宮内膜症組織より子宮内膜症性間質細胞を分離培養し、IL-17による添加実験を行ったところ、IL-17によって濃度依存性にIL-8、COX2の産生が増加、また増殖能も増加することが解った。また、IL-17によるIL-8産生がERK, p38MAPK, JNK/SAPKを介することが解った。今回、子宮内膜症の進展、増悪においてIL-17が関与する可能性が示唆された。
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