2007 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症、子宮内膜癌の発症・進展におけるTLR-MyD88経路についての研究
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18890060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 哲也 The University of Tokyo, 医学部・付属病院, 助教 (30431860)
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Keywords | Th17 / Il-17 / endometriosis |
Research Abstract |
子宮内膜症とTLRの検討をしているうちに、IL-17が子宮内膜症において特徴的な局在を示すことが解った。 今回、私達は子宮内膜症患者の腹腔内貯留液(PF)中の単核球(PFMC)におけるTh17の存在を明らかとし、IL-17の子宮内膜症細胞(ESC)に対する効果につき検討した。【方法】子宮内膜症患者より同意を得た上で、PFと切除した子宮内膜症性卵巣のう胞組織の一部を用いた。また、子宮内膜症組織よりESCを分離培養し、以下の検討に用いた。(1)flow cytometry法にてPFMC中のTh17の存在を調べた。(2)免疫染色法にて、子宮内膜症組織におけるTh17の局在を調べた。(3)分離培養したESCにおけるIL-17受容体(IL-17R)の発現を免疫染色法で調べた。(4)ESCをIL-17で24時間刺激し、IL-8の産生をELISA法にて調べた。さらに、IL-17Rの中和抗体を添加した上で上清中のIL-8産生をELISA法にて調べた。(5)Western Blot法にてp38,ERK,JNKのリン酸化を調べた。(6)また、それぞれのinhibitorによる上清中へのIL-8産生に対する効果をELISA法にて調べた。(7)TNF・とIL-17を同時添加し、上清中のIL-8産生をELISA法にて調べた。(8)ESCをIL-17で48時間刺激し、BrdUの取り込みを調べた。 【結果】(1)EM患者PF中にTh17が存在した。(2)IL-17陽性細胞は、正常子宮内膜に比較し、子宮内膜症病変に著明に多く存在し、腺上皮の直下に多く局在していた。また正常卵巣表面にはIL-17陽性細胞は存在しなかった。(3)ESCはIL-17Rを発現していた。(4)ESCは1ng/ml以上のIL-17刺激により有意にIL-8の産生を亢進した。また、IL-17Rの中和抗体は、このIL-8産生をほぼ完全に抑制した。(5)p38,ERK,JNKのリン酸化はそれぞれ5分、または15分にピークが見られた。(6)また、それぞれの経路のinhibitorによりIL-17刺激によるESCのIL-8産生は抑制された。(7)TNF・とIL-17の同時添加により、相乗的なIL-8産生の増加がみられた。(8)IL-17刺激は、1ng/ml以上でESCのBrdUの取り込みを有意に増加させた。 【結論】子宮内膜症患者の腹水中及び子宮内膜症病変にTh17が存在することを明らかにした。IL-17はESCにおいて、子宮内膜症進展の重要因子であるIL-8産生を促進し、増殖を促すことを示した。また、IL-17は、TNF・と共同して炎症反応を相乗的に亢進
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Research Products
(3 results)