2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌患者において誘導される多能性免疫担当細胞に着目した新規治療モデルの構築
Project/Area Number |
18890067
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
田中 香衣 千葉県がんセンター(研究所), 手術管理部, 医員 (20431934)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / 腫瘍免疫 / 免疫抑制細胞 |
Research Abstract |
われわれは、マウスの口腔扁平上皮癌細胞株であるNR-S1Kを用いた、同系マウスへの移植モデルにおいて、癌の免疫回避機構のなかでも、補助刺激分子の一つであるB7-H1/B7-DC:PD-1経路、および、癌細胞の産生する可溶性因子により誘導される未熟骨髄系細胞の性状および機能について解析を進めてきた。 本研究で得られた今までの主たる結果は以下のとおりである。 1.NR-S1はB7-H1/B7-DCともに発現していないが、in vitroでIFN-γ存在下に培養すると、また、マウスに生着させてin vivoに腫瘍増殖させると、B7-H1の発現が誘導された。 2.NR-S1を同系マウス皮下に接種し、抗B7-H1抗体もしくは抗PD-1抗体を担癌マウスに投与すると、腫瘍の増殖が抑制された。 3.NR-S1Kをマウスに接種すると、原発腫瘍の大きさに比例して脾臓の腫大が認められたが、それはCD11b^<high>Gr-1^<med-high>の大型リンパ球(以下CD11b^<high>細胞とする)の異常増殖によるもので、脾臓のT細胞領域のみならず末梢血、リンパ節および腫瘍周囲にも同細胞の集積が認められた。 4.CD11b^<high>細胞の表面抗原の解析では、Gr-1^<med-high>, F4/80^<dim+>, Ly49Q~+, SIRPα^+, PIR A/B^+であったが、CD11cやMHC class I/IIは通常の樹状細胞の発現レベルより低い発現を示しており、CD80/CD86に関しても、それぞれ発現なし/低発現であった。 5.CD11b^<high>細胞は、成熟好中球とは異なる、未熟骨髄系細胞とでもいうべきヘテロな細胞集団であった。 6.CD11b^<high>細胞のサイトカイン発現のmRNAレベル解析では、IL-1β,IFN-α, IL-4, MIP-1αの発現のみが認められた
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