2007 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌患者において誘導される多能性免疫担当細胞に着目した新規治療モデルの構築
Project/Area Number |
18890067
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 香衣 Tokyo Medical and Dental University, 歯学部附属病院, 医員 (20431934)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / 腫瘍免疫 / 免疫抑制細胞 |
Research Abstract |
われわれは、マウスの口腔扁平上皮癌細胞株であるNR-S1Kを用いた、同系マウスへの移植モデルにおいて、癌の免疫回避機構のなかでも、癌細胞の産生する可溶性因子により誘導される未熟骨髄系細胞の性状および機能について解析を進めてきた。 今年度,本研究で得られた主たる結果は以下のとおりである。 1.NR-SlKをマウスに接種すると、原発腫瘍の大きさに比例して脾臓の腫大が認められたが、それはCD11b^<high>Gr-1^<med-high>の大型細胞(以下CD11b^<high>細胞とする)の異常増殖によるもので、脾臓のT細胞領域のみならず末梢血、リンパ節および腫瘍周囲にも同細胞の集積が認められた。 2.CD11b^<high>細胞は、成熟好中球とは異なる、未熟骨髄系細胞とでもいうべきヘテロな細胞集団であった。 3.CD11b^<high>細胞の存在にもかかわらず、担癌マウス所属リンパ節細胞の増殖反応は 増強されていた。 4.CD11b^<high>細胞は、リンパ系系列抗原を持たず、抗原提示細胞としての機能分子発現も低く、アロ抗原提示能力を欠如していた。 5.CD11b^<high>細胞は、GM-CSFとIL-4存在下の培養により、機能分子を発現誘導し、高い抗原提示能力を獲得した。 6.CD11b^<high>細胞の添加により、所属リンパ節細胞の増殖反応は抑制されたが、IFN-γ産生は逆に増強された。 7.NR-S1Kを同系マウス皮下に接種する前後に、別の担癌マウスより分離したCD11b^<high>細胞を移植しても、腫瘍の増殖に対する明らかな影響は認められなかった。
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