2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経活動依存的な脳由来神経栄養因子BDNFmRNAの安定化機構の解明
Project/Area Number |
18890070
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
福地 守 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (40432108)
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Keywords | 脳由来神経栄養因子 / 遺伝子発現 / 神経活動 / カルシウム / mRNA安定化 / 3'非翻訳領域 |
Research Abstract |
神経細胞において、高次脳・神経機能発現に重要なニューロトロフィンである脳由来神経栄養因子BDNFの遺伝子発現は、神経活動により誘導されるカルシウムシグナル依存的に上昇する。我々は、BDNF mRNAの半減期がカルシウムシグナル依存的に延長する、すなわちmRNAが安定化されることを明らかにした。そこで、カルシウムシグナル依存的なBDNF mRNAの安定化機構の解明を目的とし、本年度は、特にBDNF mRNAの3'非翻訳領域(3'UTR)に着目し、ルシフェラーゼ・レポーター遺伝子を用いた解析を行った結果、以下のことが明らかとなった。 1.BDNF mRNA 3'UTRの欠損体を用いた解析により、BDNFの翻訳開始点より下流729〜1154basesの領域には定常状態のBDNF mRNAの安定性に、また1151〜1471basesの領域にはカルシウムシグナル依存的なBDNF mRNAの安定化に関与する配列がそれぞれ存在することが示された。現在は、特にカルシウムシグナル依存的mRNA安定化に関与する配列を同定するため、1151〜1471basesの領域に着目し、欠損体を用いた解析を進めている。 2.カルシウムシグナル依存的なBDNF mRNAの安定化に関与するシグナル伝達経路の解明のため、ERK/MAPK、cAMP/PKA、CaMK IIの各種阻害剤を用いて解析を行った。しかし、これらの阻害剤のいずれもBDNF mRNAの安定化には影響がなかった。現在、CaMKIV経路やPKC経路など、その他のシグナル伝達経路に着目し解析を進めいている。 3.BDNF mRNAは、タンパク質合成阻害により発現が上昇するスーパーインダクションが起こるが、これもまた3'UTRが関与する可能性が示された。今後、mRNAの安定化機構と合わせて解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)