2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体内凍結技法による移植腫瘍細胞組織の機能分子形態学的研究
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18890075
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大野 伸彦 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助手 (10432155)
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Keywords | クライオバイオプシー法 / 生体内凍結技法 / クライオピンセット / 腫瘍細胞移植モデル / 浸漬固定法 / 細胞異形性 / 生体内脈管分布 |
Research Abstract |
生体内凍結技法の臨床病理学的解析応用のため、クライオバイオプシー法において腫瘍の生検および凍結固定に用いるクライオピンセットの開発、改良を行った。皮膚科イボ採取用ピンセットの先端をグラインダーで研磨し、液体窒素リザーバーを装着し、軽量化した。この器具を用いて冷却速度の測定と正常マウス肝組織のクライオバイオプシー-凍結置換固定法によるパラフィン包埋試料の作製を行った結果、この器具により光学顕微鏡観察に十分耐える試料の冷却速度が得られ、また生体内凍結技法と同様に肝血流動態を反映した組織像の明瞭な観察と可溶性成分の良好な保存が可能であった。これらの結果の一部は現在、欧文誌に投稿準備中である。 次にヒト癌細胞株EBC-1を培養し、ヌードマウスを用いてヒト腫瘍細胞移植モデルを作製後、(a)生体内凍結技法-凍結置換固定法、(b)上記クライオピンセットを用いたクライオバイオプシー-凍結置換固定法、(c)無固定切除試料急速凍結技法-凍結置換固定法、もしくは(d)パラホルムアルデヒド(PFA)浸漬固定法-アルコール脱水、の各方法を用いて、パラフィン包埋試料を作製し、その切片をHE染色もしくは血管内皮細胞マーカーであるvon Willebrand因子とリンパ管内皮細胞マーカーであるLYVE-1に対する免疫染色を行った。その結果、従来の浸漬固定-脱水法(d)に比較して生体内凍結技法(a)やクライオバイオプシー法(b)では、組織および細胞の収縮による変形が防止され、さらに流動赤血球を含む機能的血管像あるいは開存したリンパ管像が明瞭に観察された。以上の結果から、本研究で開発改良されたクライオバイオプシー法により、動物生体内における腫瘍組織の機能的形態像を切片上で捉えることが可能になり、細胞異形性や生体脈管分布の評価の臨床的意義が大きいと予想された。現在、その他の細胞株や動物モデルについても検討中である。
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Research Products
(6 results)