2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18890077
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
井上 修 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (00432154)
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Keywords | 医学 / 血栓止血 / 血小板 / 細胞外物質 |
Research Abstract |
我々は血管基底膜の構成物質であるラミニンは血小板接着を支持し、コラーゲン刺激による血小板活性化と類似したメカニズムで活性化シグナルを惹起することを明らかにしてきた。今回の研究課題では、ラミニンへの血小板接着とこれに惹起される血小板活性化が生理的にどの様な役割を演じうるのか検討している。今年度はラミニンへの血小板接着が、生体内で、特に血管傷害部位などで見られる高ずり応力の存在下でも認められるかを検討した。 ラミニンを固相化したガラスキャピラリー内に血液を流し、ラミニンに接着する血小板の様子を蛍光顕微鏡下に観察した。血小板は静脈レベルの低ずり速度(300/s)から血管傷害部位でも認められる高ずり速度(1500/s)下でラミニンに接着することを確認した。 次に、高ずり応力下での血小板接着に注目し、接着メカニズムの解明を行った。高ずり応力下での細胞外物質への血小板接着メカニズムでは主にコラーゲンへの接着モデルが研究され、その詳細が解明されている。すなわち高ずり応力下では粘着蛋白von Willebrand Factor (VWF)が露出したコラーゲンに粘着し、血流中の血小板はglycoprotein (GP) Ibを介してVWFに粘着することでコラーゲンに間接的に粘着し、引き続きコラーゲン受容体GPVIとintegrin α2β1がコラーゲンに結合することで血小板が活性化され、強固な接着が起こる。このモデルを参考にラミニンへの血小板接着におけるVWFの関与についてVWF欠損患者血液を用い検討したところ、驚くことに高ずり応力下でのラミニンへの血小板接着にもこれらVWFとGPIbの関与が必要であることが判明した。 コラーゲンは比較的血管壁深層に存在するのに対し、ラミニンは血管内皮直下という血流に暴露されやすい部位に存在している。ラミニンが血流に暴露された場合も、コラーゲンが暴露された場合も、類似したメカニズムにより血小板が血管壁に接着することを発見した。この研究結果は2006年日本血栓止血学会で口述発表した。現在英文専門誌に投稿準備中である。
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