2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症に対する新規創薬ターゲットの同定:網羅的pathway・転写機構解析
Project/Area Number |
18890082
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安田 宜成 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 研究員 (60432259)
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Keywords | DNAアレイ / 糖尿病性腎症 / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
糖尿病性腎症は末期腎不全に至る最大の原疾患であるが、その病態解明は不充分である。ヒト糖尿病性腎症(DN)13例の腎生検組織を糸球体と尿細管間質領域にmicrodisectionし、後者をAffymetrix社のDNA array(HGUA133)により、網羅的遺伝子発現解析を行った。対照は生体腎移植ドナー(LD)7例、微小変化型ネフローゼ(MCNS)4例で、統計学的解析(RMA, SAM)によりFDR<1%を有意な発現変動と定義した。バイオインフォマティクス解析として、clustering解析、GeneOntologyChart解析(DAVID)、Pathway解析(Ingenuity)、転写機構解析(Genomatix)を行った。Clustering解析でearly DN(eDN)はprogressive DN(pDN)とは異なった遺伝子発現を示し、LDやMCNSとの類似性を認めた。GeneOntologyChart解析でpDNは炎症に関連する遺伝子群が発現変化し、Pathway解析ではNF-κB pathwayが活性化していた。転写機構解析によりNFKB_IRFF_01 moduleの関与を同定、本moduleに制御され得る9個の遺伝子(B2M, CCL5/RANTES, CXCL10/IP10,EDN1,HLA-A, HLA-B, IFNB1,VCAM1)発現亢進を予測し、9個全ての遺伝子発現亢進をRT-PCR法等により確認した。本研究は、DNの進展へのNF-κBとIRFの関与を明らかにし、新たな創薬ターゲット検索の端緒となるのみならず、DNなどの複雑な病態をDNA arrayとバイオインフォマティクス解析により解明し得ることを示唆するものである。本成果は、米国腎臓学会と日本腎臓学会において筆頭著者として発表、連名筆頭著者としてDiabetes誌に報告した。
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