2006 Fiscal Year Annual Research Report
褥瘡発生機構の基礎的研究ー三次元培養皮膚線維芽細胞の加圧負荷に対する応答ー
Project/Area Number |
18890084
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
高田 直子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10432303)
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Keywords | 褥瘡 / 皮膚線維芽細胞 / アポトーシス / 機械的刺激 / MMP / 三次元培養 / RT-PCR |
Research Abstract |
本研究は、褥瘡発生プロプロセスには加圧という機械的刺激に対する皮膚構成細胞の応答が関与するという仮説を検証することを目的として、皮膚線維芽細胞の加圧に対する応答を遺伝子レベルで検証するものである。本年度の研究では、コラーゲングル内三次元培養した皮膚線維芽細胞に、100g/cm^2および340g/cm^2の加圧を5時間負荷したサンプルをRT-PCRを用いて遺伝子レベルで検証した。その結果TNFα、IL-1βなどのアポトーシス誘発因子となるサイトカイン類および、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-3、-9、-13、COX-2などの発現が加圧したサンプルで有意に増加することを明らかにした。またTUNEL染色の結果、加圧によってTUNEL陽性の細胞が有意に増加することも明らかにした。このことから、加圧刺激によって皮膚線維芽細胞はアポトーシスを起こす可能性が考えられる。 研究を進めるにあたり、加圧時に細胞が低酸素環境に曝されることを考慮する必要性が考えられた。そこで低酸素刺激による細胞応答と加圧刺激による細胞応答を比較するために、低酸素環境での皮膚線維芽細胞の応答を確認する実験を追加した。現時点では、TNF-α、IL-1β、IL-8は低酸素刺激によっても発現が増加するが、MMP-9、-13の発現は増加しないという結果を得ている。このことから、MMP-9、-13は加圧という機械的刺激に特異的に応答し発現する可能性が明らかになった。また急性期褥瘡組織へのMMP-9抗体を用いた免疫染色では、陽性所見を確認しており、祷唐とMMP-9発現の関連性を示唆している。
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