2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経型電位依存性カルシウムチャネルの新たな制御機構の解析と病態生理学的意義
Project/Area Number |
18890087
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 助手 (50402798)
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Keywords | 神経科学 / 薬理学 / 脳神経疾患 / てんかん |
Research Abstract |
平成18年度は研究対象としている神経型電位依存性Ca2^<2+>チャネルの新たな制御機構の解析および中枢神経変性疾患のモデル系(仙心ば・)の確立およびその傷害発生メカニズムの解析に取り組み、以下の新結果を得た。1.ヒトCa_v2.3サブュニットを含むR型Ca^<2+>チャネルを発現させたHEK細胞において、保持電位である-100mvから0mvへの200msの脱分極パルスを与えたところ内向きのBa^<2+>電流が観察され、その電流はカルモジュリン阻害薬であるW-7の細胞外適用により、緩徐かつ非可逆的な抑制を受けた。同じ神経型チャネルとして分類されるヒトCa_v2.2サブユニットを含むN型Ca^<2+>チャネルに対し同様にW-7を適用したが、その電流応答に有意な変化は観察されなかった。一方、W-7の構造類似体でありカルモジュリン阻害活性が低い化合物であるW-5を同様にR型チャネル電流に適用したが何ら影響を与えなかった。以上の結果は脳虚血時に神経保護的に作用する薬物であるカルモジュリン阻害薬がR型Ca^<2+>チャネル電流を特異的に抑制することを示す結果である。2.中枢神経系においても高発現することが確認されているL型Ca^<2+>チャネルの新たな活性化機構および病態生理学的意義の探索を行った結果、capsaicinを含むvanilloid化合物の適用により惹起されるTRPV1の活性化に伴ってL型Ca^<2+>チャネルが開口し、その後過剰に流入したCa^<2+>により神経細胞死が誘発されることが新たに見出された。さらにTRPV1の活性化はhistamineやbradykininといったGPCRアゴニストを緩和な低pH条件下において低濃度(1μM)で投与しても観察されるという結果を得た。これらの結果より、新たなin vitro脳虚血モデル系を確立することができ、そのメカニズムの一部が明らかになったと想定される。
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