2007 Fiscal Year Annual Research Report
機能グライコミックスによる網羅的解析および糖鎖修飾を応用した異種膵島移植法の確立
Project/Area Number |
18890102
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川本 弘一 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (30432470)
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Keywords | 異種移植 / ブタ膵島 / 超急性拒絶反応 / α-gal抗原 / non-gal抗原 / 機能グライコミックス / 糖鎖 |
Research Abstract |
1型糖尿病に対する新規治療法として膵島移植が注目されているが、ドナー不足のため広く定着していない。異種膵島移植は、慢性的なドナー不足の解決法の1つであるが、ブタ膵島上に発現している異種糖鎖抗原(α-gal epitopesは発現していない)と移植後レシピエントで産生される抗ブタ抗体(anti-nongal Ab)とによって惹起されるdelayed rejectionが長期生着の障壁となる。先頃、超急性拒絶反応の最大の原因とされるα-gal抗原をノックアウトしたブタが作製され、異種移植研究におけるブレイクスルーとなったが、異種膵島移植においてもノックアウトブタをドナーとすべきか異論のあるところである。今回の研究では、マウス、ラット、ブタより分離した膵島におけるα-gal抗原、non-gal抗原の候補と目されているHanganutziu-Deicher(HD)抗原の発現量をウェスタンブロットにて解析した。【結果】これまでの報告では膵島にはα-gal抗原は発現していないとされていたが、ブタ分離膵島にはα-gal抗原の発現を弱いながらも認めた。今回確認されたα-gal抗原は、膵外分泌細胞あるいは膵島内血管内皮細胞に発現しているものをdetectしたと考えられる。またブタ膵島にはHD抗原の発現も確認された。【結論】α-gal、HD抗原を含めた糖鎖抗原は、たとえ膵内分泌細胞に発現を認めずとも、外分泌細胞や血管内皮細胞には発現しているため、異種膵島移植の際に問題となる可能性があり、膵島移植においてもα-galノックアウトブタをドナーに用いるべきと考えられた。またnongal抗原に対しては異種糖鎖抗原のさらなる解析を進める必要があり、ヒト糖鎖とブタ糖鎖の種差を網羅的に解析し、糖鎖をヒト型に改変する必要があると考える。
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