2006 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌性尿路感染症対策としての抗バイオフィルム剤探索とその基盤技術の開発
Project/Area Number |
18890116
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
和田 耕一郎 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (20423337)
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Keywords | 大腸菌 / バイオフィルム / 尿路感染症 / キノロン耐性 / アミノ酸変異 / 抗バイオフィルム剤 / スクリーニング / クォーラムセンシング |
Research Abstract |
大腸菌性尿路バイオフィルム感染症の予防法および治療法の確立を主要な目的として、基礎的・臨床的検討を行うとともに大腸菌性バイオフィルムに対する阻害候補物質のスクリーニング法およびモデル実験系の確立を行い、抗バイオフィルム剤の開発を目指す。 本年度は、尿路感染症由来大腸菌に関して、分離頻度が増加傾向にあるキノロン耐性株を中心に、基礎的・臨床的検討を行った。1994年〜2005年の12年間に、岡山大学泌尿器科において677株(1患者1株)が分離されていた。単純性尿路感染症患者から分離された129株のうち4株(3.1%)、複雑性尿路感染症患者から分離された548株にうち54株(9.9%)がキノロン耐性(オフロキサシンMIC≧4μg/ml)であった。このうち56株のキノロン耐性株について、キノロン耐性決定領域のDNAシークエンスを行い、GyrAの83番目と87番目およびParCの80番目の3箇所全てのアミノ酸が51株(91%)において変異していることを確認した。キノロン耐性株に対する各種キノロン系薬の最小発育阻止濃度(MIC)の値には幅があった。それらMIC値とバイオフィルみ形成能には関連性を認めなかったが、耐性化にはキノロン耐性決定領域の変異の他にも複雑な機構が関与していると考えられた。 一方、新しいスクリーニング法であるペグ(細い短棒)付き96穴ポリスチレンマイクロプレートを使用して、人工尿中、大腸菌性バイオフィルムに対する阻害候補物質の探索を開始した。緑膿菌におけるクォーラムセンシング(菌密度依存的遺伝子発現制御)機構の阻害剤として見出された17種の化合物の提供を受けており、これらの化合物は大腸菌におけるクォーラムセンシング機構も阻害する可能性が高いので、大腸菌性バイオフィルム形成抑制活性の評価に着手した。
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