2006 Fiscal Year Annual Research Report
アナンダマイドを軸とした歯周病の無痛性進行機序の解明と制御
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18890150
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中島 結実子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (40433081)
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Keywords | 歯学 / 感染症 / 歯周病 |
Research Abstract |
申請時の平成18年度研究計画に従い、(1)歯周病原性細菌の培養およびLPSの調整(2)歯周組織の採取(3)歯周組織細胞(歯肉線維芽細胞)の分離培養(4)培養細胞におけるアンナンダマイドおよびβエンドルフィンの産生測定(5)歯周組織におけるアナンダマイドのレセプター(CB1,CB2)の発現解析(6)病態の異なる歯肉由来の培養細胞におけるCB1,CB2の発現比較検討を行った。 結果として(4)では、LPS刺激による培養歯肉線維芽細胞からのアナンダマイドの産生は、認められたが濃度や時間依存性には再現性がなく今後追試を必要とする。アナンダマイドは脂質メディエータであり分解速度が速いためサンプルの処理・測定時間などを熟考する必要がある。βエンドルフィンは、LPS刺激では産生は認められなかったがアナンダマイドで刺激することにより産生の増加が認められた。よって以前からの報告のとおり(Ibrahim MM Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Feb 22;102(8):3093-8.)歯周組織中においてもアナンダマイドによって培養細胞のCB1,CB2レセプターが刺激され細胞中のプロオピオメラノコルチン(POMC)よりβエンドルフィンが産生された可能性が考えられる。(5)では、歯周組織では歯肉上皮細胞・歯肉線維芽細胞・マクロファージ様細胞・血管内皮細胞に免疫組織化学的にCB1,CB2レセプターの陽性所見が認められた。(6)では、健康・軽度の炎症・重度の炎症を呈する歯周組織からのそれぞれ採取された培養線維芽細胞におけるCB1,CB2発現をRT-PCR、ウエスタンブロット法により比較検討した。病態の悪化ともに亢進していることがmRNAレベル、蛋白レベルで認められた。また健康歯肉由来線維芽細胞をLPSで刺激したところ時間・濃度依存的にCB1,CB2レセプターの発現が亢進した。 以上の結果を平成19年5月第50回春季日本歯周病学会学術大会にて発表する予定である(採択済み)。
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