2006 Fiscal Year Annual Research Report
帯状疱疹後神経痛を抱えた在宅高齢者の実態とその影響
Project/Area Number |
18890152
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
進藤 ゆかり 札幌市立大学, 看護学部, 助手 (70433141)
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Keywords | 看護学 / 帯状疱疹後神経痛 / 慢性疼痛 / 高齢者 / 痛み |
Research Abstract |
人間の生物学的加齢過程では、種々の器官の特性に進行的不可逆的悪化がおこることが知ちれている。有訴者のうち65歳以上の男女は、自覚症状として「腰痛」「肩こり」「手足の関節痛」等が上位を占めている。ペインクリニックにおいても高齢患者が増加し、近年特に加齢に伴う免疫力の低下による帯状疱疹後神経痛患者が増加傾向にある。高齢者は帯状疱疹(以下HZ)の治療後も痛みが残存し、帯状疱疹後神経痛(以下PHN)へ移行しやすい。この疾患は神経ブロック等のあらゆる疼痛治療に抵抗を示す神経因性疼痛のため根治が難しく、高齢者は痛みを抱えた生活を余儀なくされている。本研究では、PHNの予防行動の普及啓発活動と高齢者の慢性疼痛によるうつ傾向や気力の低下等を予防するために、1)難治性のPHNを抱えた在宅高齢者の痛みの実態とその生活への影響、2)HZ、及びPHNに対する適切な初期治療の有無、治療経過と慢性疼痛の関連を明らかにすることを目的とする。平成18年12月〜平成19年3月までに協力を得られた麻酔科外来を有する2病院に外来受診しており、帯状疱疹発症後1年以上経過した帯状疱疹後神経痛患者で、在宅生活をしている65歳以上の痴呆のない高齢者数名から研究参加の同意を得られた。方法として、基本属性、帯状疱疹発症年月、部位別の痛みの程度はVAS(0〜10)、老研式活動能力指標(13項目)、主観的健康感、 Short Form 36を用いた質問紙調査を実施。さらに半構成的面接法を用いインタビューを行い、同意を得た上でテープ録音し、逐語録を作成し、質的に分析した。その結果、いずれの対象者も、発症時から初期治療にいたるまで1週間近く経過してしまった経緯があり、そのためにPHNになってしまったと受けとめていた。さらに、医療者から「この痛みは一生治らないよ」といわれた言葉に、絶望感と怒りを感じていた。その中でも、時間の経過とともに、痛みを持ちながらも、なんとか以前のような日常生活を維持、あるいは復活させようと苦慮していた。今後、さら面接を繰り返し、カテゴリ化をすすめ、データの妥当性を高めるとともに、対象者を増やし、データ収集、量的データに関しても分析をすすめていく予定である。
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